JRRCマガジンNo.258 塞翁記-私の自叙伝31

半田正夫

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JRRCマガジン  No.258 2021/11/25
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みなさまこんにちは。
「JRRCではどのような著作物を管理しているのですか?」
という問い合わせが多くありますが、JRRCの管理著作物については、
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今回のコラムは半田先生の社会貢献の続きです。

前回までのコラムはこちらから↓
⇒https://jrrc.or.jp/category/handa/

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◆今回の内容
【1】半田正夫弁護士の塞翁記 私の自叙伝31 第18章 社会貢献(2)
【2】12月8日開催 著作権講座中級(オンライン)のお知らせ
【3】日経紙等利用許諾の申込みについて
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◆◇◆半田正夫弁護士の塞翁記━━━━━━
             -私の自叙伝31
     第18章 社会貢献(2)

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◆日本複製権センターに関与
書籍、雑誌、新聞などをコピーして使用する場合には、原則として著作権者の許諾を受けなければならないが、使用者がいちいち権利者を探し出し、許諾の手続きを取ることは煩雑であり、一方、権利者のほうも肝心の創作活動を中断して許諾契約に応じるというのも大変わずらわしいことである。
そこで両者の中間に立ち、著作権者から複製権の行使の委託を受けた団体に連絡を取りさえすれば、複製の許諾が簡単に得られるという仕組みが当然に必要になってくる。
このような目的のために生まれた団体が日本複製権センターである。当初、このセンターは日本複写権センターと呼称していたが、平成24年に公益社団法人化するに伴い、名称を日本複製権センターと改めている。
私がこのセンターの理事として参加したのは平成10年であるが、翌11年には理事長として理事会を取り仕切ることになり、同29年までその職を務めた。この期間中、著作権を有する各団体の代表者から多大の教示を受けたことは私の研究に大いに役立つことになり、得ることの多い貴重な時間を過ごすことができた。

◆日本テレビ(NTV)番組審議会に関与
放送法により、すべての放送機関は社内に放送番組審議会を設け、放送番組を社内で審査することが義務付けられている。
戦前・戦中において放送番組に国家が干渉して自由な放送ができなかったことへの反省から、国家が放送には一切関与することができなくなり、これによって報道の自由が確保されることになった。
しかしその反面、不道徳あるいは反社会的な放送が行われるのを放置することは許されないところから、各放送機関に自主的に公正な番組を審査するための番組審議会を設置することを義務付けたものである。日本テレビ放送網株式会社(日テレと略称される)も、この法律に従って番組審議会を設け、毎月1回、原則として局側から指定された番組について審査を実施している。
この委員会の委員は、各界の有識者によって構成されることになっており、日テレでは、これまで清水英夫(青山学院大学教授・言論法の権威)を委員長に、帖佐寛章(日本陸連副会長)、石ノ森章太郎(漫画家)、坪内ミキ子(俳優)、江国滋(随筆家)、多胡顕輝(千葉大名誉教授・「頭の体操」の著者)、日野啓三(作家・芥川賞受賞者)、島森路子(「広告批評」編集長)、江川卓(野球解説者)、増田明美(スポーツ解説者)、檀ふみ(女優)、米長邦雄(将棋名人)、なだいなだ(随筆家)10名ほどで構成されていた。
私は、清水教授が放送倫理・番組向上機構(BPO)の評議員会議長に就任するに当たって日テレの審議会委員を降りることになり、その後任として彼の推薦により就任したものである。私の就任した当時、委員長は多古輝であったが、平成13年からは私が委員長に就任し、令和元年までその職にあった。
その間、猪口邦子(上智大学名誉教授・参議院議員)、竹中平蔵(慶応大学名誉教授)も一時、委員に就任したが、大臣になったため辞任している。
私の退任時の委員は、井上秀一(副委員長、元NTT東日本社長)、檀ふみ、増田明美、高橋源一郎(作家)、酒井順子(エッセイスト)、槇村さとる(漫画家)、岡田恵和(脚本家、NHK「ちゅらさん」「ひよっこ」などの作者),鈴木嘉一(ジャーナリスト)三宅弘(弁護士、前二弁会長)の10名で構成されていた。
同一番組の合評でありながら、各自違った角度からみていて、なるほどこのような見方もあるのかと感心することが多く、貴重な経験をさせていただいたと感謝している。

◆放送倫理・番組向上機構(BPO)に関与
放送における言論・表現の自由を確保しつつ、視聴者の基本的人権を擁護するためと、放送への苦情や放送倫理の問題に対処するために、NHKと民放連とによって設けられた第三者機関が放送倫理・番組向上機構(BPO)である。
この機関は「放送倫理検証委員会」、「放送と人権等権利に関する委員会」、「放送と青少年に関する委員会」の3つの委員会に分かれ、視聴者からの苦情のあった放送番組について審議し、該当放送局に対し意見を述べることを役目としている。
この機関の評議員会は、上記3つの委員会の委員を選任することを職務としている。この評議員会議長を私は平成18年から同30年にかけて務めた。メンバーは,宮原賢次(住友商事名誉顧問)、辻村重男(中央大教授)、坂東真理子(昭和女子大理事長、ベストセラー「女性の品格」の著者)、藤村作弥(元日銀副総裁、ジャーナリスト)、堀田力(さわやか福祉財団会長、弁護士、元東京地検特捜部検事として田中角栄元総理に対して論告求刑を行ったことで有名)、山田太一(脚本家)の7名で構成されていた。評議員会は3つの委員会のメンバーの選出のみが仕事の内容であり、その候補者は事務局の用意した者のなかから選ぶだけなので、意外と簡単に終了し、あとは雑談に終始するのが常であった。そしてこの雑談が面白く、多くの知見を得ることができたのは得難い経験であった。

◆私大連盟常務理事として関与
わが国には私立大学は529あり(平成29年現在)、これが日本私立大学連盟(私大連)と日本私立大学協会(私大協)の2つのグループに分かれている。
前者に属する大学は123校、後者に属する大学は406校に上っている。2つに分かれた理由はつまびらかではないが、大きな大学、例えば早・慶・日・立命・同志社などは主として前者に、比較的中小規模の大学は後者に属しており、学生の数の総数も前者のほうが圧倒的に多いといえるようだ。

青山学院大学は私大連に属しており、常務理事校に選ばれる例になっていた。当時、理事長は早大の奥島氏であったが、その後,慶応大の安西氏に代わり、そのもとで、教学担当の常務理事としてシンポジウムなどを主催した。理事会やシンポジウムに参加することによって、他大学の状況を知ることができ、青学の状況と比べることによって大きな刺激を受け、青学の発展に多少の貢献を果たすことができたと自負するにいたった。

◆自民党本部の朝食会に参加
2000年の4月27日の朝8時に私は自民党本部で開催された同党商工部会知的所有権小委員会など3委員会主催の勉強会に招待された。ずいぶん早い時間に会合が開かれると思ったが、国会議員はそれぞれに多忙な仕事をかかえており、全員の都合がつくのは朝しかないというところから、朝食を取りながらの委員会の開催が定着したとのことである。

私が招かれたのは、著作権の当面する課題について意見を聞きたいとの党の要請によるものであった。当日招かれたのは当時東大教授であった中山信弘氏と私の二人であった。日記のよると、私が述べたのは、①戦時加算の撤廃、②ゲームソフトの保護、③私的複製の自由の撤廃の3点であったが、とくに強調したのは①についてである。

ご承知のように、著作権の保護期間は創作時から始まって著作者の死後70年(当時は死後50年)であるが、第二次大戦中に連合国に所属していた国民が戦時中に取得していた著作権については、この保護期間にさらに一定の期間がプラスされているという特例が存在している。
その期間とは、わが国が連合国と戦闘に入った昭和16(1941)年12月8日から対日講和条約が成立した日の前日の期間(国によって多少異なるが、およそ10年間)である。この期間、日本は連合国の著作物を敵国のものとしてまったく保護していないはずであるから、この期間を本来の保護期間に加えて保護すべきであるとして、講和条約のなかに盛り込まれたものである。
わが国は敗戦国としてこれを受け入れているが、考えてみれば連合国側も日本の著作物を同様に保護していなかったはずであるから、わが国の著作物についてもこれら連合国において加算が認められて然るべきである。わが国と同様の立場に立つドイツやイタリアにはこのような加算制度はない。
いってみれば、これはわが国にのみ課せられた不平等条約であり、政府は一刻も早くこの点の是正をはかるべきであると考えている。
当日はいいチャンスが与えられたと思い、私はこの点を強調したのであるが、議員の先生方は食事に専念するあまりか、ほとんど反応がなかったので失望したのを覚えている。

ちなみに、当日の献立は、ご飯、みそ汁、生卵、おからとひじきの煮物など、意外に質素であった。

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【2】12月8日開催 著作権講座中級(オンライン)のお知らせ
今年4回目の無料の中級講座です。参加は事前登録制です。
午前中の部は、初級の方でも体系的に学んでいただけます。
詳細は、当センターHP↓にてご確認ください。
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【3】日経紙等利用許諾の申込みについて
ご要望が強かった日本経済新聞社発行の新聞「日本経済新聞」「日経産業新聞」
「日経MJ」および「日経ヴェリタス」(これらを「日経紙等」といいます。)
2021年8月10日より管理を開始しました。 
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