JRRCマガジン第7号(1月1日施行の権利制限その一、著作権登録)

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 JRRCマガジン
                                     2013/1/21配信 第7号
━━目次◆◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.著作権百夜一夜話 第7話―――――――1月1日施行の権利制限 前篇
2.山本隆司弁護士の著作権談義 第4回――著作権登録
3.読者の声―――――――――――――――読者の声の投稿と掲載
4.プロムナード―――――――――――――海外散歩エピソード
5.インフォメーション――――――――――ご意見・ご要望、各種手続き
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皆様、こんにちは。 
日本複製権センター メールマガジン編集者です。
本年もよろしくお願いいたします。<(_ _)>

新年号の「百夜一夜話」は去る6月27日に公布された「著作権法の一部を改
正する法律」のうち、1月1日施行の権利制限に係る条文を2回に分けて解説
致します。

山本先生の著作権談義は米国の著作権登録事情の解説と日本のそれにおける問
題提起をしています。

では第7号をお届け致します。

▼今後取り上げるテーマについてリクエストがございましたら、
   ご意見・ご要望など ⇒ https://fofa.jp/jrrc/a.p/112/
 にて、ご投稿をお願いいたします。

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◆1◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 著作権百夜一夜話 第7話  
         著作権法改正における権利制限の話 前篇
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◆はじめに
今回は、昨年6月20日に成立し、同27日に公布された「著作権法の一部を
改正する法律」のうち、今年1月1日に施行され他権利制限に係る「第30条
の2」から「第30条の4」までと「第47条の9」について採り上げます。

「第30条の2」から「第30条の4」までは「私的使用目的」のための「複
製」に限定して権利を制限している「第30条」の後に追加された条文ですが、
私的使用目的に限定せず、且つ、複製利用にも限定せず、「権利者の利益を不
当に害しない場合」であれば、一定の範囲(※)における著作物の利用(複製、
上映、演奏、インターネット等による送信、譲渡等)を権利制限の対象とする
ものです。
つまり、これらの条文が適用される限り、権利者の許諾を得ずに著作物を利用
することができるようになりました。
     (※)多くの場合「必要と認められる限度において」との規定あり

しかし、権利者の利益を不当に害する利用になるかどうかについて、また、必
要と認められる限度については、権利者と利用者間でその判断基準が異なると
思われるため、争いが生じた場合は訴訟によって解決を図らなければならなく
なる可能性があります。

今月号では、
 第30条の2「付随対象著作物の利用」
来月号では、
 第30条の3「検討の過程における利用」
 第30条の4「技術の開発又は実用化のための試験の用に供するための利用」
 第47条の9「情報通信技術を利用した情報提供の準備に必要な情報処理の
        ための利用」
の解説をいたします。

◆第30条の2「付随対象著作物の利用」

●条文
写真の撮影、録音又は録画(以下この項において「写真の撮影等」という。)
の方法によつて著作物を創作するに当たつて、当該著作物(以下この条におい
て「写真等著作物」という。)に係る写真の撮影等の対象とする事物又は音か
ら分離することが困難であるため付随して対象となる事物又は音に係る他の著
作物(当該写真等著作物における軽微な構成部分となるものに限る。以下この
条において「付随対象著作物」という。)は、当該創作に伴つて複製又は翻案
することができる。
ただし、当該付随対象著作物の種類及び用途並びに当該複製又は翻案の態様に
照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

2 前項の規定により複製又は翻案された付随対象著作物は、同項に規定する
写真等著作物の利用に伴つて利用することができる。
ただし、当該付随対象著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著
作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

●解説

第1項では、撮影、録音、録画等の手段を使って新たな著作物を創作しようと
して、街中でカメラやレコーダーを使う場合、結果的に、背景に著作物が映り
込んだり音楽が録音されてしまったりすることがありますが、このような著作
物(付随対象著作物)の利用は権利行使の対象となる利用とは看做さないこと
としています。

具体的には、街中で友人の写真を撮影したりビデオカメラで家族を撮影したり、
さらに、商品の販売促進目的のポスターやビデオを作るための撮影をしたりす
るとき、背景として著作権の対象となる看板やポスター、或いはキャラクター
などが映り込んだり、街に流れている音楽がBGMのように録り込まれたりす
ることがありますが、このような利用は権利者の許諾を得なくても行なえると
いうことになります。

第2項では、上記のような、既存の著作物の付随的な利用を伴って作成された
著作物を上映したり、インターネットを使って送信したりすることができるこ
とを規定しています。
しかし、本条は飽くまで著作権法が適用される対象物(著作物)に限定した規
定であり、商標権の及ぶ範囲まではカバーしていません。
従って、写真や映像の著作物の背景として、商標登録された「商号」、「屋号」、
「ロゴ」などの看板やプレートなどが写り込んだような場合は本規定の範囲外
の問題が生じ得ること、つまり商標法上の問題が発生する可能性があることに
注意を払う必要があります。

 ■文化庁の解説
  http://www.bunka.go.jp/chosakuken/utsurikomi.html

◆2◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 山本隆司弁護士の著作権談義 第4回
               著作権登録
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◆はじめに
山本隆司先生の著作権談義の4回目です。
今回は米国の「著作権登録」事情を概観し、日本のそれにおける課題を指摘し
て頂いています。

    ▼山本弁護士の経歴、著作物等
     ⇒ http://www.itlaw.jp/yamamoto.html

◆著作権登録
最近、マイケル・ジャクソンの楽曲について、米国著作権局のデータベースを
使って、権利の所在を確認する機会がありました。
日本の著作権登録制度は、不動産登記をモデルにしています。土地や建物を買
えば「移転登記」します。不動産登記においては建物を建てた場合に「保存登
記」します。
しかし、著作権登録制度には、保存登記に対応する登録制度は存在しません。
そのため、著作権登録では、譲渡や質権設定が公示されても、著作物作成によ
る著作権取得が公示されることはありません。

他方、米国では保存登記に対応する著作権登録(copyright registration)と、
移転登記に対応する著作権譲渡登録(recordation of transfer document)の
二つの制度があります。この二つの登録情報は、米国著作権局のホームページ
上で検索することができます。

保存登記に対応する著作権登録は、日本の建物保存登記と同様、著作権の効力
要件ではありません。著作権登録には、記載事項について法律上の推定を生ず
る効力および法定損害賠償請求権や弁護士費用回復請求権が与えられています
(なお、米国著作物については著作権登録が訴訟要件とされています)。

その結果、日本で保存登記のなされていない建物がほとんどないのと同様に、
米国では、著作物が創られれば著作権登録を行う慣行ができあがっています。

米国では、保存登記に対応する著作権登録(copyright registration)は、
従来、書面申請でしたが、2008年7月から、オンラインで申請できるよう
になりました。オンライン申請によって、著作権情報のデータベース化が進み、
著作権取引が安全かつ迅速に行われることになります。

著作権の保護は著作者の生活保護のためではなく消費者による著作物利用のた
めである、という米国著作権法思想の面目躍如といったところです。

ところで、著作権侵害訴訟では、原告は著作権の保有を署名しなければなりま
せん。米国では、保存登記に対応する著作権登録で著作権の保有を証明するこ
とができますが、日本では、著作権の立証に苦労することがよく起こります。

たとえば、マライヤ・キャリー(ソニー)など欧米の著名なアーティストのレ
コードについて、日本で海賊版が販売され、裁判になったことがあります。
著作権保有が不十分との理由でいったんは敗訴しましたが、後に、米国での著
作権登録証を証拠提出して、著作権保有が認められたという経緯があります。

保存登記に対応する著作権登録の制度をなぜ日本でも創らないのでしょうか。

取引された著作物情報(移転登記に対応する著作権登録の情報)ではなく、取
引の対象になる著作物情報(保存登記に対応する著作権登録の情報)を、デー
タベース化することによって、一般消費者による許諾取得が可能となります。

また、透かし技術と組み合わせることにより、無断でアップロードされた著作
物の自動削除が技術的にも可能になります。

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 読者の声
       『読者の声』の投稿と紹介
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このコーナーは、身近なテーマについて、読者の方から投稿して頂き、その中
から選出して『読者の声』としてご紹介するコーナーです。

◆読者の声
 テーマ:「著作権法を勉強するのに役立つ書籍・雑誌・WEBサイト等情報」

 投稿者:よし様

 法律の条文は抽象的なものが多いので、どれだけイメージがわくかが理解の
 ポイントになると思います。
 その点、岡邦俊『著作権の事件簿―最新判例62を読む』は、実例を紹介しな
 がら、法律の何が問題になっているのかが分かりやすく書かれており、著作
 権法がぐっと身近になる好著です。

 また、法律上はダメと書かれていても、現場の実態にはそぐわないことも、
 ままあります。
 そういう場合には、『著作権とのつきあい方』等の、岡本薫氏(元文化庁著
 作権課長)の著作が役立ちます。氏の主張のように「著作権の問題はリスク
 マネジメントだ」と割り切れると、行き詰まった時に道が開けるかもしれま
 せん。

 最後に、文化庁の『著作権テキスト』
    http://www.bunka.go.jp/chosakuken/text/index.html
 や、CRICの「はじめての著作権講座」
    http://www.cric.or.jp/qa/hajime/hajime.html
 は、公式見解として、細かいところで迷った場合の判断基準になります。

  

◆次回テーマ
  前回と同じ、「著作権法を勉強するのに役立つ書籍・雑誌・WEBサイト等
  情報」があればご紹介ください
    
◆投稿先はこちら
  ⇒ https://fofa.jp/jrrc/a.p/111/

掲載された方には粗品を進呈いたします。
なお記事として掲載する場合は、事前にご連絡しご了解を頂くように致します。

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 プロムナード
       ♪ ♪    孤高と融和     ∞ ∞
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ブダペスト(ハンガリー)

ハンガリーのブダペストには、会議への参加のために2度ほど訪れたことがあ
ります。
最初に訪問した1991年6月は同国がソ連の占領から解放された1989年
から間もなくの、まだ観光立国化以前の頃です。
そのためか、ペスト地区にある国会議事堂の壁や屋根、聖イシュトバーン大聖
堂のドームや尖塔などは煤で黒く汚れたままで、今の様子とはかなり異なるも
のでした。
それでも、フランツ・リスト記念館を含めてペスト地区を一通り見学した後、
ドナウ川(ハンガリー語では「ドゥナ」)に架かるくさり橋を渡り、遊歩道を
上ってブダ地区に入り、お決まりのコースである、王宮、マーチャーシュ教会、
漁夫の砦等を観て回ったときは、オーストリアに共通する歴史を感じました。

   ~100年ほど前は、オーストリア=ハンガリー二重帝国と呼ばれる連
    邦国家でしたね
    ハンガリーは著名な作曲家や物理学者、数学者を輩出してきましたが、
    創造力豊かな人を育てる風土なのでしょうか….

その前日は、会議参加者とその家族数百人が一堂に会して行なわれたディナー
に参加しましたが、会場はブダ地区にある「ウドヴァルファーズ」というハン
ガリー料理のレストラン。送迎バスで会場に到着した参加者達は、民族服をま
とった踊り手にレストランの玄関前でいきなりフォークダンスに誘い込まれ、
ハンガリー気分を味わうことになりました。

ディナーでは、美味しい地元料理とトカイワインに舌鼓を打ち、民族音楽や民
族舞踊を楽しみ、満喫すべき時間をすごしました。
その中で最も驚いたのは、樽詰めのトカイワインのサービスです。
熟成ダルのワインを試飲するための「ロポー」という道具を改良して作ったと
いわれる細く長いガラス管がついたデキャンタボトルにワインを満たし、その
ワインを1メートル以上離れたグラスに一滴も漏らさずに注ぐという離れ業で、
まさに熟練したフロアスタッフによるパフォーマンスでした。\(◎o◎)/!

  ▼トカイワイン
   http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%82%AB%E3%82%A4%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%B3

  ▼ハンガリー政府観光局
   http://www.hungarytabi.jp/
       → 世界遺産 → トカイワイン地域の文化的景観

会期も終り、ホテルをチェックアウトして空港までタクシーに乗ったとき、運
転手さんから、日本から持ち込まれた紫陽花が好まれていること、ハンガリー
人の名前は日本と同じく「姓・名」の順に並べられること、日本の車は高級品
で羨望の的であることなどなど、日本についての好意的な話に乗せられ、楽し
い会話のうちに空港に到着し、帰国の途に着きました。

2度目にブダペストを訪れたのは1度目の訪問から10年ほど過ぎた年の1月
でした。
嘗て訪ねたドナウ川沿いのハンガリアンレストランに行き、地元の料理とワイ
ン、それに加えてジプシーバイオリンの名演に身体も心も温められ、懐かしい
ひと時を過ごしました。
翌朝見たドナウの水面を沢山の氷の塊が水面を流れて行く様は、「美しく青き
ドナウ」の穏やかな印象とは全く異なり、ひとしおの寒さを改めて感じさせる
ものでした。

ドナウ川は、ドイツ、スロバキア、ハンガリー、クロアチア、セルビア、ルー
マニアほか、多くの国を流域に有するため、国によって呼び名が異なったり、
水利や環境上の問題を孕んだりしているとのことで、日本人の感覚ではとても
測り知れないものを感じた出張でした。

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れば幸いです。次号もよろしくお願いいたします。

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   JRRC副理事長 瀬尾 太一   

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