知恵袋
自分の業務上の参考資料として、部門内で回覧された雑誌記事を複写して使用したい。
- 私はある会社の社員ですが、執務上の参考資料として使うために、課内で回覧された法学雑誌の記事を複写したいと思っています。この場合、私は権利者の許諾を得る必要がありますか。(30条、企業内利用))
- 法学雑誌の記事は一般に著作物ですので、これを複写する行為は、著作物の複製に該当し、著作権者が有する複製権(著作権法21条)に抵触します。
ただし、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること」(私的使用)を目的とする場合には、基本的に著作権者の許諾なくその使用する者が複製することができます(30条1項)。しかし、本件でのあなたの行為は、会社の履行補助者としての行為なので、著作権法上は、あなた個人の複製行為ではなく、あなたの会社による複製行為と見られます。会社など企業その他の団体において、内部的に業務上利用するために著作物を複製する行為は、私的使用目的での複製(30条1項)には該当しません(東京地裁昭和52年7月22日判決〔舞台装置設計図事件〕)。すなわち、企業内において執務上の参考資料として使用する目的は、たとえ従業員個人が使用する場合であっても、この私的使用のための複製には当たりません。したがって、権利者の許諾を得る必要があります。
回答者 山本隆司 弁護士 (インフォテック法律事務所)
※回答内容は本ケースにおける一例を掲載しています。