カテゴリー別アーカイブ: 著作権知恵袋

知恵袋 営業部の定例会議で新聞・雑誌記事を複製・配布したい。 私はある企業の営業部長ですが、営業部の定例会議で、営業活動に有益と思われる新聞や雑誌の記事を複製・配布し、それに基づき今後の方針について指示をしたいと思っています。この場合、権利者の許諾が必要でしょうか。 新聞や雑誌の記事は、単に事実を伝達するに過ぎないようなものを除き(著作権法10条2項)、通常は著作物に該当します。よって、記事の複製は、新聞社や雑誌社が記事について有する複製権(21条)に抵触します。 もっとも、複製権は、私的使用を目的とする場合には、制限されます(30条1項)。しかし、企業その他の..続きを読む

知恵袋 インタービューを受けた記事を複製して全従業員に配布し、店頭にも置いて顧客に自由にもっていけるようにしたい。 私はある企業の役員ですが、先日、雑誌社のインタービューを受け、それを元にした記事が出ました。この記事を複製して従業員全員に配布するとともに、営業所の店頭に置いて顧客に自由にもっていってもらおうと思っています。この場合、権利者の許諾は必要ですか。 言語の著作物であるインタビュー記事は、インタビューを受けた人が口述した内容を基に作成されますが、出来上がった記事には、実際に記事を執筆した記者(雑誌社)の創作的な表現(質問のほか、全体の構成や口述の編集行為)..続きを読む

知恵袋 調査会社に依頼した調査の報告書を複製し、顧客や関連会社に有償販売したい。また、ダイジェスト版を自社で作成し無償で配布したい。 私の企業では、あるシンクタンクに依頼し市場調査をしました。その報告書が届いたのですが、顧客や関連企業からの要望もあり、その報告書の複製物を作成し、有償で販売したいと思っています。また、その報告書の概要版を私の企業で作成し、こちらは無償で配布したいと考えています。この報告書の作成費用は私の企業が負担しているのですから、このようなことは自由にできると考えているのですが、何か問題はありますか。(61条) 著作物の著作権は、まず著作者に発生..続きを読む

知恵袋 ネットで、「自由にお使いください」と記載しているイラストをみつけたので、催物の案内に利用して顧客に配布したい。 私は、ある会社で広報を担当していますが、ある催物の案内を顧客に送るので、文書のほかに何かイラストを添えたいと思い、ネットでかわいい犬のイラストを見つけました。ネットでは、自由にお使いくださいと書いてあったのですが、これを使っても問題ないでしょうか。 イラストは、一般に作成者の個性が現れた表現であると考えられますので、「思想又は感情を創作的に表現したもの」(著作権法2条1項)として著作物に当たります。したがって、イラストを催物の案内に使用することは..続きを読む

知恵袋 自社で作成している顧客データベースの著作権について知りたい。 私の会社では、顧客の氏名、住所、性別、電話番号、趣味を一覧にしたデータベースを作成していますが、このデータの集合体に何か権利はあるでしょうか。個別のデータはどうですか。(著作物性、データベースの著作物) 著作権法が保護している「著作物」は、「思想又は感情を創作的に表現したもの」です(著作権法2条1項)。データベースの著作物においては、個々のデータが表現ではなく、個々のデータの選択または体系的構成が表現です。したがって、創作性が要求されるのも個々のデータではなく、その選択または体系的構成に創作性が..続きを読む

知恵袋 新聞の死亡欄に業界関係者が掲載されていたら、記事を複製して関係部門に配布している。 私はある会社の総務部の社員ですが、新聞に掲載してある死亡欄の中で業界に関係ある人の記事を切り抜き、その複製物を関係部局に配布しています。この場合、新聞社の許諾は必要ですか。(著作物性) 著作権法が保護している「著作物」は、「思想又は感情を創作的に表現したもの」です(著作権法2条1項)。したがって、「思想又は感情」の表現ではない「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」は言語の著作物には当たりません(10条2項)。 新聞の死亡欄の記事は、一般的には死亡した人の氏名、簡単な経..続きを読む

知恵袋 毎日、業界に関係ある新聞・雑誌記事の見出しと簡単な要旨を自社サーバーにおいて、情報共有している。 私の部署では、毎日業界に関係のある新聞や雑誌の記事の見出しと当該記事のごく簡単な要旨を自社のサーバーに掲載し、情報を共有していますが、何か問題はありますか。(著作物性、翻案) 著作権法が保護している「著作物」は、「思想又は感情を創作的に表現したもの」です(著作権法2条1項)。したがって、「表現」であっても「創作性」のないものは著作物として保護されません。 新聞や雑誌の記事の見出しは、創作性が認められる余地が小さく、通常、著作物には該当しません(知財高判平成1..続きを読む

知恵袋 料理雑誌に掲載された創作料理を実習でつくりたい。また、レシピを複製して生徒に配布したい。 私はある料理専門学校の教員ですが、今度実習で料理雑誌に載っていた創作料理を作ろうと思っているのですが、何か問題がありますか。生徒に当該雑誌のレシピが載っている部分を複製して配布することはどうですか。(アイデアの利用、35条) 著作権法は、「著作物」、すなわち「思想又は感情を創作的に表現したもの」を保護しています(著作権法2条1項)。したがって、この「著作物」に該当しないものは著作権法で保護されません。 ここで、独創的な創作料理であったとしても、その味や香りは、著作物..続きを読む

知恵袋 小説の脚本集を出版する予定だが、脚本家の許諾は得ているが小説家はとっていない。 私の出版社では現代作家の小説の脚本集を発売したいと考えていますが、脚本家の許諾はすべて取りました。原作者である小説家の許諾は取ってないのですが、何か問題はあるでしょうか(二次的著作物) 本件での脚本は、小説をもとにして作成したものですので、当該小説を原著作物とする二次的著作物に該当します。 原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関して、二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を有します(著作権法28条)。したがって、小説の著作者である小説家は、脚本の複製や譲渡..続きを読む

知恵袋 裁判の判決がでたら、会社のコメントをつけて判決文全文を関係者に印刷またはメールで配布したい。 私は食品関係の企業の社員ですが、今度食品の原産地表示の偽造に関する裁判の判決があるのですが、判決が出たその日に会社のコメントを付けて判決文全文を関係者に印刷物又はメールで配布したいのですが、何か問題ありますか。(13条) 裁判所の判決文は、通常、著作物の定義に該当します。しかし、判決文は著作権法上、権利の目的となることができない著作物とされており(著作権法13条3号)、著作権の対象になりません。したがって、判決文を印刷物やメールで配布することについて、複製権侵害や..続きを読む