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知恵袋

会社で、あるマンガを活用した商品展開を密かに企画。検討段階の企画会議でメンバーに漫画を複製して配布したい。

私はある会社のプロジェクトリーダーをしていますが、会社では密かにある漫画を活用した商品展開を企画しています。企画の内容がある程度固まれば漫画の著作権者にも話をして一緒に企画を進めようと思っていますが、それ以前の企画会議でもプロジェクトメンバーには漫画の複写物を配布して議論をしたいと思っています。この場合、私は権利者の許諾を得る必要がありますか。(30条の3、企業内利用)
漫画は、著作物に該当しますので、これを複写する行為は、権利者の複製権(著作権法21条)に抵触します。
もっとも、著作権者の許諾を得て著作物を利用しようとする者は、「著作物の利用についての検討の過程における利用に供することを目的とする場合には、必要と認められる限度において、当該著作物を利用すること」ができます(30条の3)。あなたの会社は、将来的に漫画の著作権者と一緒に企画を進めようとしている者なので、「著作権者の許諾を得て著作物を利用しようとする者」に該当します。また、漫画を活用した商品展開の検討をするために、当該漫画を複製し、メンバーに配布することは、「利用についての検討の過程における利用に供する」といえます。さらに、「必要と認められる限度」についても、プロジェクトメンバーに限った配布であれば、これに該当するといえます。よって、本件では、通常、同条本文の要件を満たし、権利者の許諾を得る必要はありません。
なお、複製権は、私的使用を目的とする場合にも制限されます(30条1項本文)。しかし、会社等における内部的利用のための複製行為は、「私的使用」に該当しないと解されているため、本件のような社内プロジェクトにおける複製行為には、30条は適用されません。

回答者  山本隆司 弁護士 (インフォテック法律事務所)
※回答内容は本ケースにおける一例を掲載しています。
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