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知恵袋

自宅学習の参考資料として、図書館から借りた専門書の一部を大学会館やコンビニのコイン式複写機で複写し使用したい。

私は大学生ですが、自宅学習の際の参考資料として使うため、図書館から借りた専門書の一部分を、大学会館内やコンビニエンス・ストアーのコイン式複写機器を使って複写したいと思っています。この場合、私は権利者の許諾を得る必要がありますか。(30条、31条、35条)
専門書は、著作物に該当しますので、これを複写する行為は、権利者の複製権(著作権法21条)に抵触します。
もっとも、複製権は、私的使用を目的とする場合には、制限されます(30条1項本文)。大学生が自宅学習の際の参考資料として専門書を使う場合は、私的使用を目的とする場合に該当しますので、本件では複製権が制限され、権利者の許諾は不要です。
なお、公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器を用いて複製する場合には、30条1項本文は適用が除外されることとなっています(30条1項1号)。しかし、「専ら文書又は図画の複製に供するもの」は、現状「自動複製機器」に該当しないこととなっていますので(附則5条)、大学会館内やコンビニエンス・ストアーのコイン式複写機器も、「自動複製機器」に該当せず、30条1項本文の適用は除外されません。
また、複製権は、教育機関の授業を受ける者が、授業の過程における使用に供することを目的として、必要と認められる限度で複製する場合にも、制限されます(35条)。しかし、①授業と関係なく自宅学習を行うことを目的として複写する場合には、「授業の過程における使用」に該当しませんので、同条を根拠に権利者の許諾を不要とすることはできません。また、②授業に関係する自宅学習を行うことを目的として複写する場合であっても、授業とは関係のない部分の複写や必要部数以上の複写をすることは、「必要と認められる限度」を超えますので、やはり同条は適用されません。
さらに、図書館が利用者のために複製をする場合にも、一定の要件を満たせば、複製権は制限されます(31条)。しかし、同条は、原則として、本件のように学生が主体となる場合や、図書館以外で複製をする場合には適用されません。

回答者  山本隆司 弁護士 (インフォテック法律事務所)
※回答内容は本ケースにおける一例を掲載しています。
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