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JRRCマガジン No.250 2021/9/9
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※マガジンは読者登録の方と契約者、関係者の方にお送りしています
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◆今回の内容
【1】川瀬先生の著作権よもやま話
【2】日経紙等利用許諾の申込みについて
【3】10月6日開催 著作権講座(オンライン)のお知らせ
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みなさまこんにちは。
朝夕に感じる風が心地よい季節になってきました。
みなさまいかがお過ごしでしょうか。
本日のメルマガは、著作者人格権についての続きです。
訂正:前回の「(その3)」は「(その4)」の間違いでした。訂正してお詫びいたします。
◆◇◆━川瀬先生の著作権よもやま話━━━
著作者の権利について(その5)
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8 著作者人格権
(2)著作者人格権の種類とその内容
②氏名表示権(19条)
ア 氏名表示権の内容
著作者の権利は、著作物の創作という事実行為によって自然に発生します。
しかし、反対に一般の人にとって、その著作物の創作者が誰かは、その著作物が公表された際に表示された著作者名を手掛かりにするしかありません。
前回説明した著作者の推定規定(14条)もそのような趣旨から設けられたものです。
したがって、著作物と著作者というのは不可分の関係にあるところから、著作物が公表される際には、その著作者の希望に沿った形で著作者名が表示されることが必要となります。
著作権法では、この権利を氏名表示権(19条)とし、著作者人格権の内容の一つとしています。
具体的には、著作者がその著作物の原作品に、又は著作物の利用に当たって、著作者名を表示するかどうか、仮に表示するとすれば、本名(実名)で表示するのか、それともペンネーム等の変名で公表するかを決めることができる権利としています。
なお、「原作品に」表示というのは、例えば、絵画や彫刻等の美術作品そのものに署名等することを指します。
「利用に当たって」表示というのは、例えば出版の場合は、本の表紙や奥付への著作者名を表示すること、また無形的利用である演奏、上演等の場合は、アナウンス等により表示することをいいます。
ところで、公表権(18条)の場合は、著作者がその著作物の公表に同意し発行等の方法により公表されるとその時点で当該著作物は未公表の著作物ではなくなるので、公表権は行使できないことになります。
一方、氏名表示権の場合、最初の公表の際に氏名表示権を行使し、例えば氏名を公表しないという選択をしたときに、その変更ができるかという問題があります。
この点は条文上それを制限する規定はありませんので、必要に応じ、権利行使の内容を変更できると解されています、例えば、書籍出版において、初版は本名(実名)を明かせない事情があり出版者に申し出て変名で出版したが、その後事情が変わり、第二版以降は本名で出版する旨を出版者に申し出る場合です。
ただし、この場合、著作物の利用者である出版者側から見ると再版の際には必ず著作者にお伺いを立て、氏名変更の有無を確認しないと出版できないことになると、利用の円滑化の点で支障が生ずるおそれがあるため、利用者は、「著作者の別段の意思表示がない限り」、それまでの表示に従って著作者名を表示することができます(19条2項)。
したがって、例えば出版の場合、再版の際に著作者から特に氏名変更等の申出がない限り、それまでの氏名表示に従って再版を行うことができることになります。
イ 氏名表示権の制限
この氏名表示については、いかなる場合においても表示しなければいけないかというとそうではなく、利用の目的や態様に照らして著作者の利益を害さないと認められる場合は、原則としてその表示を省略することができます(19条3項)。
例えば、飲食店のBGMとして音楽を利用する場合、利用の性質上、一般に「次の曲は、作詞〇△、作曲X〇です」とアナウンスする慣行はないので、このような場合は氏名表示の必要がないということになります。
また、行政機関情報公開法等、公文書管理法等により著作物を提供・提示する場合、例えば保管している資料に付された氏名表示に従って表示するときや表示を省略するときは氏名表示権が適用されないことになっています(19条4項)。
次回は、著作者人格権の一つである同一性保持権について説明します。
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【2】日経紙等利用許諾の申込みについて
詳しくはこちら↓よりご確認いただけます。
⇒https://jrrc.or.jp/nk2021/
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【3】10月6日開催 著作権講座(オンライン)のお知らせ
今回は大阪工業大学との共催で行います。
著作権制度の概要に加えて、トピックスとして「人格権(特に肖像権)」と
「図書館の情報提供機能の強化に関する一連の著作権法改正について」を説明する予定です。
申込みについては、9/14から当センターHPにてご案内予定です。
どうぞお楽しみに!!
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JRRC代表理事 川瀬 真
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