JRRCマガジン第68号(奥付と検印)

半田正夫

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   JRRCマガジン No.68 半田正夫の著作権の泉
                          第38回「奥付と検印」
                                2016/8/10配信
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皆様、こんにちは。
JRRCメルマガ担当です。

夏の甲子園「全国高校野球選手権大会」が開幕しました。
今回は、早実、大阪桐蔭や駒大苫小牧などの強豪校がいくつか予選で敗退しています。
思いがけないところが勝つのか、それとも、名門校がやはり・・・となるのか楽しみです。
さて、日本全国猛暑に見舞われています。
こまめに水分補給をし、適度な休憩、無理をしない、を心掛けこの夏を楽しみましょう!

それでは、
「半田正夫の著作権の泉 第38回」をお送りいたします。
今回は、「奥付と検印」です。

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半田正夫の著作権の泉 第38回 「奥付と検印」
                       
 わが国独特の慣習として書籍を出版する際に、末尾のページに奥付が付せられてい
て、そこには、書名、著作者名、発行の日付、版・刷数、発行者の名前(通常、出版者
は会社であろうから、その会社名)・住所、定価、さらには印刷者名・住所、装丁者名な
どが記載されるのが通例となっている。このような奥付の制度は他国にはなく、わが国
独自のものであるが、この奥付制度が他国の関心を集めたことが一度ある。それは万
国著作権条約が成立したときのことである。この条約はわが国のような著作権の保護に
無方式主義を採っているベルヌ条約加盟国と米国のように著作権の成立に特定の方式
を要求する方式主義国との架橋を図るため、各書籍にCマーク表示を印刷しさえすれば、
方式主義国の国内法の要件たる方式を充たしたものとして扱うというもので、方式主義
国のメンツを立てながら、実質的には無方式を採ったと同じ扱いにするという便利なもの
であった。Cマーク表示とは、著作権を意味する英語COPYRIGHTの頭文字を○で囲ん
だCマークの記号と、著作権者名、第一発行年をワンセットにしたもので、これらの一つ
を欠いてもCマーク表記とは認められず、またばらばらに記載してもCマーク表示をした
とは認められないことになっている。このCマーク表示を掲載する場所として万国著作権
条約3条1項は、「Cマークの記号、著作権者の氏名及び最初の発行の年は、著作権の
保護が要求されていることが明らかになるような方法でかつ適当な場所に掲げなければ
ならない」と定めている。この「適当な場所」の意味については、同条約成立時の米国著
作権法ではタイトル頁またはその裏頁に記載することを求めており、その他の欧米諸国
においてもタイトル頁または巻頭のどこかにAll right reservedと記して著作権の所在を
明らかにする慣行があり、Cマーク表示の記載の場所としてここがもっとも適当と一般に
は考えられたようである。だが、わが国にはこのような慣行がなく、むしろわが国にとっ
て妥当な場所としては奥付がふさわしいと考えられるところから、1957年の万国著作権
条約政府間委員会に「Cマーク記号の付け方」と題する議題を提出して奥付への記載を
認めてもらうよう努力した結果、これが承認されるにいたったとのことである。
もっとも、米国が無方式主義国に転換しベルヌ条約に加盟して以来、わが国の著作物
が米国で保護されるためにはCマーク表示が不要となったことにより、Cマーク表示を記
載する意味は現在ではほとんど失われているといってよい。

 一方、わが国においてはかつて検印制度が取られていた時期があった。検印とは出
版物のすべての複製物に著作権者が捺印することをいい、明治20年の出版条例の制
定を機に登場したものである。この条例は、登録と各複製物への「版権所有」の4字の
記載とを要件として著作者に版権(文書・図画を出版してその利益を専有する権利)を
保障する旨を定めたものであるが、この条例に従い、著作者が各複製物の奥付に「版
権所有」の文字を記載すると同時にさらに捺印をしてその複製物の発売を承認する証
とする、という慣行が成立するにいたったのである。その後、この条例は明治26年に版
権法が制定されるにおよんで廃止となり、「版権所有」の4字を記載する必要がなくなっ
たにもかかわらず、奥付に検印する慣習は、検印受領数を印税算定の基礎とする方法
として、また無断出版の防止策として、長く利用されていた。しかしながら、このような検
印制度は無断出版の防止策として不徹底であるばかりか、出版者と著作権者との信頼
関係が密であり、出版または増刷の際には著作権者に対して正確な部数を通知するこ
と、帳簿を正確にしていつでも著作権者の閲覧に供しうること、さらに印税支払期日を
明瞭にしてこれを厳守すること、の3条件が整う限り、必ずしも存置の必要をみない制度
である。現に諸外国においてはこのような制度の類例をみないし、わが国においても岩
波書店が廃止に踏み切ったのを契機に現在ではほとんどの出版社がこれを廃止するに
いたっている。

 筆者も検印を押した経験が一度ある。学術書であるからわずか1000~2000部程度の
発行部数であるが、出版社から100枚綴りの切手シート状の検印シートを渡され、証紙
に一つ一つ印鑑を押したものである。はじめのうちは面白がって自分で押していたが、
そのうち飽きてしまい、妻の仕事にいつのまにかすり替わった記憶が懐かしく思い出さ
れる。
 

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