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知恵袋

公立図書館の蔵書の検索のために、書誌情報(タイトル、著者、出版社等)をデータ化し蓄積している。また、簡単な抄録も作成してデータ化し蓄積したい。

私は公立図書館の司書ですが、利用者の図書検索を容易にするために、受け入れ図書の書誌事項(著作者名、題名、出版社名、発行年)をアーカイブ化しています。この場合、権利者の許諾を得る必要がありますか。また、これらの情報に加えて、簡単な抄録を作成し同じようにアーカイブ化する場合はどうですか。(31条)。
図書の書誌事項のうち、著作者名、出版社名、発行年については、単なる事実の表記に過ぎません。また、題名についても通常は、著作者の個性が表れたものとはいえず創作性のある表現とは認められません。したがって、これらの事項は、通常、アーカイブ化するには、当該図書の著作者や著作権者の許諾を得る必要はありません。
 他方、図書内容そのものは、著作物です。抄録が単に図書内容の要旨を短文(たとえば50字以内)で記載したものであれば、当該図書の表現の利用ではなくアイデアの利用に止まりますので、複製権(著作権法21条)や翻案権(27条)には抵触しません。しかし、抄録が内容の要約であって当該図書の表現の一部(たとえばストーリ構成や特徴的な表現部分)を再録したものである場合には、複製権や翻案権に抵触しますので、権利者の許諾を得る必要があります。
 なお、公共図書館が、図書館資料の保存のために必要があって複製を行う場合には、複製権が制限されます(31条1項2号)。しかし、本件でのアーカイブ化のための複製は、図書検索の容易化を図るためのものであり、「資料の保存のため」ではないので、同条によっては、複製権は制限されません。

回答者  山本隆司 弁護士 (インフォテック法律事務所)
※回答内容は本ケースにおける一例を掲載しています。
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