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知恵袋

執筆中の解説記事で、ある条文を解説するために、ネット上に某大学の先生が個人的に訳された日本語訳があったので記事に利用したい。

私は、米国著作権法の解説記事を書いていますが、ある条文を解説するため、米国著作権法の当該条文の日本語訳を掲載したいと思っています。この日本語訳は、ある大学の先生が個人的に訳されたもので、ネット上に掲載してありました。この場合、当該条文に係る権利者の許諾が必要でしょうか(32条)
「憲法その他の法令」は、仮に著作物性が認められたとしても、著作者の権利が及びません(著作権法13条1号)。外国の法令もこれにあたりますので、米国著作権法そのものには著作者の権利は及びません。
また、「憲法その他の法令」の翻訳物のうち、国や地方公共団体の機関等が作成するものにも、著作者の権利が及びません(13条4号)。しかし、大学の先生が個人的に訳したものはこれにあたりませんので、本件の米国著作権法の日本語訳には、翻訳者の著作権が及びます。
しかし、公表された著作物を引用して利用する場合には、複製権が制限されます(31条1項前段)。引用は、引用する側の著作物と引用される側の著作物が明瞭に区別でき、前者が主、後者が従の関係があると認められる場合をいいます(最高裁昭和55年3月28日判決)。本件では、解説という性質からして、米国著作権法部分とその解説部分は通常区別して掲載されますので、通常両者は明瞭に区別する態様で掲載されているといえます。
また、本件における解説記事が米国著作権法の特定の論点を解説するものであり、その論点を議論するにあたって必要となる特定の条文をその日本語訳を付して解説するというような状況であれば、当該条文の解説が主で、当該条文の日本語訳は従の関係にあるといえるでしょう。しかし、たとえば、米国著作権法の逐条解説のような使い方の場合、米国著作権法の条文自体が主で、解説が従の関係にある場合も考えられます。このような場合には、当該各条文の日本語訳も、米国著作権法の条文自体と同様に、解説に対して主の関係に立ちます。
したがって、本件が以上のようなものであれば、引用に該当し、当該複製には権利者の許諾を得る必要はないでしょう。

回答者  山本隆司 弁護士 (インフォテック法律事務所)
※回答内容は本ケースにおける一例を掲載しています。
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