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公立図書館での複製サービスについて、申請書は職員がチェックするが、複製行為は利用者に任せている。

私は公立図書館の司書ですが、この図書館では、人員の確保の問題があるところから、複製サービスについては、利用者からの申請書は職員がチェックするものの、実際の複製作業は利用者自身にお任せしています。このような方法による複製サービスは適法ですか。(31条)
公立図書館においては、利用者の求めに応じ、利用者の調査研究のために、公表された著作物の原則として一部分の複製物を、一人につき一部提供する場合に限り、著作権者の許諾なしに複製することができるとされています(著作権法31条1項1号)。
 この条件に該当するためには、まず、複製の主体が物的にも人的にも図書館でなければなりません。すなわち、図書館の管理下に置かれた機器で、図書館職員が複製することが原則です。しかし、利用者が図書館職員の監督下でその手足として複製する場合には、法的には、図書館職員による複製と評価することも可能と考えられます。
 なお、大学図書館でのコイン式複写機による複写サービスに対する権利制限の適用ついては、日本複写権センター(現JRRC)と大学図書館との間で、次の5つの要件を満たせば適法とみなすとの合意をしています(大学図書館における文献複写に関する実務要項(平成15年1月30日))。

  1. 図書館が文献複写のために利用者の用に供する各コピー機について、管理責任者(および運用補助者)を定める。
  2. コピー機の管理責任者は、司書またはそれに準じた者とする。
  3. 図書館は、各コピー機の稼働時間を定めて掲示する。
  4. コピー機の管理責任者は、管理するコピー機による文献複写の状況を随時監督できる場所で執務する。
  5. 図書館は、コピー機の稼動記録を残す。
したがって、図書館職員が利用者からの申請書をチェックするほか、利用者が、図書館職員の監督下で、図書館の管理下に置かれた機器を使って、実際の複製作業を行う場合には、著作権者の許諾なしに複製することができると考えます。

回答者  山本隆司 弁護士 (インフォテック法律事務所)
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