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JRRCマガジン No.255 2021/10/28
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みなさまこんにちは。
今週は緊急事態宣言も解除されましたね。
これからは、感染症対策を継続した上で、新しい日常となっていくのではないでしょうか。
著作者や実演家の創作の機会が増え、対価が著作者に適切に還元することを願っています。
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◆今回の内容
【1】半田正夫弁護士の塞翁記 私の自叙伝30 第18章 社会貢献
【2】日経紙等利用許諾の申込みについて
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前回までのコラムはこちらから↓
⇒https://jrrc.or.jp/category/handa/
◆◇◆半田正夫弁護士の塞翁記━━━━━━
-私の自叙伝30
第18章 社会貢献
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◆非常勤講師として他大学への出講
学生時代に私が聴講した講義の多くが教師のひとりよがりによるもので、わかりにくいものであるうえに、退屈きわまりないものであったので、私が講義をするときには分かりやすいものにしようと心に誓っていた。
講義は聴講者に分からせるためにするものであって、分からない、あるいは分からせようとしない講義は講義ではないとの認識があったからである。
とはいうものの、分かりやすい講義をするためには、自分自身が内容を完全に咀嚼していなければならないため、事前の準備が大変であった。それから分からせるためには視覚に訴えることが重要だと考え、できるだけ板書をするように努めた。また、語尾を明確にし、この説に賛成なのか、反対なのかを、はっきり述べるようにつとめた。
このような努力をしたにもかかわらず、講義終了後はいつも「今日は失敗だった」と慙愧の念に駆られる始末だった。だが、このような真剣な姿勢は学生にも伝わるものとみえ、「分かりやすい」との評判を得るようななり、他大学での講義の依頼も非常に多くなっていった。
すなわち、本務校であった北海道大、北海学園大、神奈川大、近畿大、青山学院大での講義は当然のことであるが、他大学から依頼された講義は、北から、酪農学園大、北海道女子短大、札幌大、札幌学院大、小樽商科大、千葉大、東京教育大(現筑波大)、早稲田大、慶応大、明治大、法政大、中央大、上智大、学習院大、立教大、東海大、帝京大、立命館大であり、その他変わったところでは、郵政大学校、通産省研修所、国鉄研修所などであった。
そして一度講義をすると、以後、継続して頼まれるのを常とした。通産省(現経産省)での講義は、公務員試験の上級職を合格したエリート職員10名ほどを対象とするものであったが、一般の職員研修の場合と異なり、教室ではなく、立派な応接室でゆったり座っての授業であり、入省当初から他の職員とは異なった特別の待遇が与えられていることを知って、お役所の権力構造のすさまじさを実感したことであった。
また国鉄研修所の講師として国立市にある広大な研修施設に赴いたときには、写真入りの身分証明書が作られ、それを携行すると、全国の国鉄線(現在のJR線)はもとより、私鉄線、地下鉄線はすべて無料という厚遇を受けたのである。
◆政府関係委員会への関与
昭和47年(1972年)2月、青山学院大学助教授(現在の准教授)であった私は、文部省の著作権審議会専門委員に選任された。
これは当時、文部省著作権課長であった加戸守行氏(後に文部省官房長、日本音楽著作権協会理事長、愛媛県知事を歴任)の推挽によるものであった。この前年に,著作権の一元的構成論を中心とする私の論文集「著作権法の研究」が一粒社から刊行されており、さらに数本の論稿を発表していたことが、目に留まったもののようである。
政府の審議会に参加することによって、著作権に関する内外の資料がふんだんに入手できるようになった。これは研究の幅と質を一段と高めることに役立つことになる。
この時以来、平成15年3月にいたる約30年間、著作権審議会の委員として活躍することになる。この間、第一小委員会、マルチメディア小委員会の主査、使用料部会長など、取りまとめ役の仕事も経験させられた。
また、通産省(現経済産業省)の産業構造審議会に設置されたソフトウェア基盤整備小委員会にも著作権審議会から派遣される形で参加し、コンピュータプログラムの保護の立法化のために奔走したこともある。
これらの仕事は、自分の研究の成果を立法に役立てることができるという満足感をもたらすことになり、民法の研究に専念していては到底考えられない経験と充足感を味わうこととなったのである。
◆司法試験受験者のためのサービス
私の本来の専門分野は民法であったこともあって、民法の講義の依頼も多くあった。とくに民法は司法試験の主要科目であったことから、司法試験受験者のための予備校にも多く呼ばれるようになった。
たとえば、東京法経学院、東京法科アカデミー、東京法科学院、辰巳法律研究所などの予備校をはじめ、早大法職課程、中大法職課程、慶応大法職課程、明大法職課程、法政大法職課程、日大法職課程、中大真法会、中大玉法会、中大瑞法会などであり、これらは講義のほかに、答案練習会の出題・解説・講評なども担当させられたのである。
とくに答案練習会などでは、解説終了後に質問者が延々長蛇の列をなしており、一人ずつ応対すると長時間に及び、最後はグロッキーになることもたびたびであった。
法科大学院が設置される以前の、いわゆる旧司法試験時代であったので、各予備校などでは必死に受験生を集め、合格者の数を競っていたのである。
そのため、いい教師を確保しようと激しい戦いが繰り広げられていたようで、あるとき、私は某予備校の代表者に神楽坂の料亭に招かれ、その予備校の専任講師になってもらえないかと懇望されたこともあった。
とりわけ大変だったのは、日本評論社が発行する「法学セミナー」という月刊誌にその年に出題された司法試験の論述試験問題の解説を依頼されたことである。自分が出題する場合であれば触れるべき論点がすべて分かっているので、解説は容易であるが、他人の出題した問題の場合は,論点が必ずしも明白ではないため、解説すべき点が欠落してはいないかと随分気を遣ったものいである。
まだ合否の発表の前であるだけに、受験生のほとんどがこの解説を読んで一喜一憂するのではないかと察せられるからである。この論点解説は担当者の学識の程度が問われることになるため、執筆を断る学者が多かったようであるが、私はあえてこれを引き受け、4~5年継続して担当したという思い出がある。
◆公的団体における講演
大学や司法試験受験団体における民法の講義や講演についてはすでに述べたとおりであるが、著作権法関係においては、それ以外の公的団体からの依頼が多く、それもかなりこなした。主なものは以下のとおり。
① 日本楽譜出版協会の講演
全音楽譜出版のT氏から依頼されて、同協会の会員社所属のスタッフを対象に著作権に関する講座を平成4年(1992年)に開催したのが最初であるが、好評とのことで、それ以後毎年7月に開催されて20年の長きにわたって行われたものである。
聴衆は毎回約200名であった。この講座の特徴は、同協会の指定するテーマに即して行われるものであったから、必ずしも自分の好み、あるいは得意分野に絞って話をするわけにはいかないという点にあった。しかも話す時間が2時間から2時間半という長さで、その準備に充てる時間も相当に長いものとなった。この講座が終わらないと、私の夏休みは来ないものと、定期試験前の学生よろしく必死に勉強したものであった。
② 著作権情報センターの講演
著作権情報センターは以前、著作権資料センターと呼称していたが、そのころから毎年、講演を依頼されていた。
このセンターは「コピライト」という月刊誌を出す傍ら、著作権に関する内外の情報を国民一般に知らせる目的で活動を行っており、私もこのセンターのお世話になることが多かったのである。
その関係もあって講演の依頼が昭和51年以降、毎年のようにあった。ここでは、「著作権法30条の問題点」、「共同製作をめぐる著作権法上の問題点」、「ヨーロッパにおける最近の著作権事情-とくに西独方式」、「二次的著作物の法構造」、「わが著作権制度における当面の課題」、「貸しレコード規制法について」、「著作権法・著作権理論の曲がり角」、「著作権と意匠権のはざまで」、「わが国における著作者人格権の判例」、「転機にさしかかった著作権制度」、「マスコミと著作権」、「わが国の著作権制度と著作権意識」、「技術の進展と著作権法の発展」、「著作権制度の発展と権利侵害」、「ホームページをめぐる著作権問題」などのテーマで講演をしたが、自分の自由な題材の選択によって行うものであったがため、準備にそれほど多くの時間をかける必要はなかったが、聴講者が一般市民であったので分かりやすく話をすることが要求され、これが難しい点といえた。
③ 東京国税局講演
平成4年から東京国税局からの依頼により約20年間にわたって、国税局職員を対象にした著作権の講義を行った。
なぜ国税局が著作権の知識を必要とするのか、いまひとつ理解できないところであるが、当局はきわめて熱心であった。
講義には1日半を当て、多くの事例を紹介しながらやさしく解説することに努めた。
受講者は毎年、100数十名にも及ぶ大集団であったが、東京国税局の管轄エリアが広大で職員も1万人にも及ぶとのことで、これでも賄いきれないほどであった。
管轄外である沖縄や北海道の職員の参加もあったと聞いている。職員の受講態度はよく、楽しく講義することができた。20年継続したことで、東京国税局長から感謝状が授与された。
④ その他
上記の講演ほど頻繁ではなかったが、地方公共団体から講演または講義の依頼を受けたケースとしては、東京都職員研修、埼玉県職員研修、群馬県職員研修、宮城県情報教育者指導講座、厚木市職員研修などがあり、またNHK、日本経済新聞社、フジテレビ、日本新聞協会、北海道新聞社などにおいても職員対象の講演を行った。
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【2】日経紙等利用許諾の申込みについて
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