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JRRCマガジン No.225 2020/12/17
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※マガジンは読者登録の方と契約者、関係者の方にお送りしています
あっというまに2020年も終わりに近づいています。
生活が大きく変わり、2020東京オリンピックは来年に持ち越され、
まだまだ2020年が続くような気がしていて、年の瀬をなかなか実感できません。
この新しい生活様式のおかげなのかもしれませんが、
少しずつ著作権というものが皆さまの仕事や暮らしに浸透し、
教育利用の補償金制度の施行などにより、今まで以上に生活していくうえで
直面していくものになりつつあります。
だからこそ、より著作権のことを知っていただき、著作物の適正利用について
理解を深めていく活動を積極的に行う時期だと考えています。
来春はそれぞれ対象者に向けてのオリジナルプログラムで著作権への理解を深めて
いただくセミナーをご用意しています。
対象者の方へはご案内が行く予定ですので是非ともご参加ください。
⇒https://jrrc.or.jp/educational/kouza/
さて、2020年最後のメルマガは半田先生の塞翁記です。
来年の事務局は1月6日から始業となります。
引き続きおつきあいください。
前回までのコラムはこちらから
https://jrrc.or.jp/category/handa/
◆◇◆半田正夫弁護士の塞翁記━━━━━━
-私の自叙伝20
第11章 青山学院大学教授時代②
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■ゼミ歌の誕生
テーマソングばやりの世の中であるが、大学のゼミにテーマソングができるという、
おそらく全国の大学では例のないことが、われわれのゼミで誕生した。
作詞は、「みだれ髪」、「函館のひと」、「北の大地」、「兄弟船」などの作詞家として著名な
日本作詞家協会会長(当時)の星野哲郎氏が担当し、
作曲は、NHK連続テレビ小説「おはなはん」のテーマミュージックを始め、
「さよならはダンスの後に」、「虹色の湖」、「月光仮面」などの作曲などで著名な
日本音楽著作権協会常務理事(当時)の小川寛興氏が担当された。
周知のように、この二人はいずれも日本レコード大賞をはじめ数々の音楽賞を受賞されており、
わが国における斯界の第一人者である。
このゼミ歌が生まれるに至った経緯は次の通りである。
私の専攻のひとつが著作権法ということもあって、音楽関係の作者とはかねてより親交があったが、
なかでも上記の2氏をはじめ、吉田正、石本美由紀、三木たかし、池田充男などを中心とする
ごく内輪の会合(酒を飲みながら歌を歌う会)に妙なきっかけで入ることになり、
年数回、仕事抜きで楽しく交際させていただいた。
そのため、1991年、青学会館で開かれたゼミ主催による私の青山学院大学在職20年記念パーティーや、
1993年、高輪プリンスホテルで開催された還暦祝賀パーティーに来賓としてこれらの方々をお招きしたが、
その際、半田ゼミの団結力と組織力を評価した同人のひとりである夏目裕氏(当時、日本文芸家著作権保護同盟事務局長)から
半田ゼミの歌を作ったらどうかの提案がなされ、アレヨアレヨという間に、実現の運びとなったものである。
この歌は3番まであるが、1番だけ紹介しよう。
半田ゼミの歌
星野哲郎作詞
―さわやかな風が―
ぎらぎら燃える 奴(やつ)がいる
静かに光る ひとがいる
共に織りなす 四季折々の
思い出すべてが 人生のあかり
自由の風 はばたいて
無限の真理 求め合う
その中のひとり ひとりであることの
爽やかな風が 胸を吹き抜ける
■ゼミ生による本の作成
青山学院大学における私のゼミは当初、民法の研究を行っていたが、のちに著作権法にシフトした。
著作権法に切り替えてからというものは、身近で彼らが関心を抱く格好の事例が多いことから議論は白熱し、
ゼミ活動も従来に増して活発化するにいたった。
その一環として大学祭において彼らは研究の成果などを展示したのであるが、それを観て、その内容の素晴らしさに感服し、
彼らの研究の成果を1冊の本にまとめることを思いついた。
作成にあたり私が彼らに要求したことは、
①著作権の本を書くのであるから、盗作だけは絶対にしないこと、
②他人の文章を参考にするときは自分の言葉に置き換えて使用し、出典を明示すること、
③読者対象を高校生に合わせてわかりやすく、「です、ます」調で書くこと、
④全体のバランスを考え、グループによってダブりのないように注意すること、
の4点にとどまり、あとは彼らにいっさいを任せた。
彼らは4月以降、3~4名のグループに分かれてテーマを選択し、就職活動で奔走する傍ら、
それぞれ専門家に会って話を聞いたり、図書館にこもって膨大な資料を収集したり、
はてはインターネットで最新の動向をチェックしたりなど、多くの苦労を重ねながら骨子をまとめ、
それをゼミの時間に報告して、私はじめ他のゼミ生の質問に答えて全体の調整を図るという手法が取られた。
私はときどきアドバイスをするにとどめ、進行はすべて彼らに任せた。
当初、彼らは戸惑い、互いに遠慮して他人の文章にクレームをつけることができなかったが、
時が経ち、まとめなければならない時期が近づくにつれ、殺気立ち、遠慮会釈なく意見を言い合い、
ときには口論に近い争いになる場面もあったり、ときには泣き出す者が出たりしたが、
なんとかいいものを作ろうという意識が次第にたかまり、チューターとして参加した大学院生の指導もあって、
350頁ほどの書物「半田ゼミの著作権Q・・」となって結実した。
刊行にあたり、私は「はしがき」に、
「もとより著作権法の勉強をはじめて・年そこそこの学生の手になるものだけに、
専門家の目からみれば至らない点も数多くうかがえるものと思われるが、
懸命に取り組み、わずかな期間に成し遂げた彼らに私は心から拍手してあげたい思いでいっぱいである。
内容に不備や間違いがあれば、それは指導した私の責任であり、
よくできていれば、それは彼らの努力のたまものである。
間もなく彼らは産業界、放送界、金融界その他に散っていくが、
みんなでひとつのことを成し遂げたという誇りと互いの友情を確かめ合ったという満足感とをもって、
それぞれの道で大成ほしいと念願するのみである。」と記した。
この本は卒業式当日、彼らに贈呈すると同時に、国会図書館はじめ、
全国の大学図書館、お世話になった著作権関係各団体などに送付し、
好評をもって迎えられたのである。
これに勢いを得て、次年度以降も継続し、「半田ゼミの音楽と著作権」、
「半田ゼミのデジタル時代の著作権法―ブロードバンドの視点から―」、「半田ゼミの次世代の著作権法」と、
私が定年を迎えるまで毎年継続して出版することができたのである。
この試みは、それまで受動的であった勉強に対する彼らの姿勢が能動的になったこと、
ひとりで出来ないことも仲間と協力すれば実現できることを自覚させた効果があったばかりでなく、
私自身にとっても、「今の学生はなかなかやるわい」と、彼らを見直すきっかけとなったことも否めない経験であったと思っている。
なお、この出版に要した費用は、次稿で述べる予定の日本レコード協会からの寄付講座の残余金をもって充てられたのである。
つづく
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