JRRCマガジンNo.300 実演家等の権利について(その5)

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JRRCマガジン  No.300 2022/12/22
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※マガジンは読者登録の方と契約者、関係者の方にお送りしています

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◆今回の内容
【1】川瀬先生の著作権よもやま話
【2】2023年1月25日開催 大阪工業大学共催 著作権講座(オンライン)のお知らせ(予告)
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皆さま、こんにちは。

2012年7月に創刊したJRRCマガジンも、
本号で創刊300号を迎えることができました。
これもひとえに、読者の皆さまがいらっしゃるからこそ。
発刊当初からお読みいただいている方から新しくご登録いただいた方まで
改めて、この場を借りて感謝を申しあげます。

創刊号など過去の記事は下記からご覧いただけます。
https://jrrc.or.jp/jrrcmagazin/page/16/
時代と著作権と事務局の移り変わりとともにお楽しみください♪

さて、今回の川瀬先生の著作権よもやま話は、
「実演家等の権利について(その5)」です。

川瀬先生の記事は下記からご覧いただけます。
https://jrrc.or.jp/category/kawase/

◆◇◆━川瀬先生の著作権よもやま話━━━
【1】実演家等の権利について(その5)
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7 レコード製作者の権利
(1)レコードとは
 レコードとは、「蓄音機用音盤、録音テープその他の物に音を固定したもの(音を専ら影像とともに再生することを目的とするものを除く)。」のことをいいます(2条1項5号)。「物」とは有体物のことをいいますので、素材を問わず何らかの記録媒体であればこの要件を満たすことになります。また、「音」については限定がありませんので、音楽に係る演奏や歌唱の音はもちろんのこと、人間同士の会話、小川のせせらぎや波の音等も含まれます。ただし、映画や放送番組等の視聴覚作品を固定すれば、そこに含まれている会話、音楽等の音も固定されますが、このようなものはレコードといわないというのが括弧書の意味です。

(2)レコード製作者とは
 レコード製作者とは、「レコードに固定されている音を最初に固定した者」のことをいいます(2条1項6号)。
音楽制作の現場を聞いてみると、歌手と演奏家が一堂に会して、そこで演奏したものを録音する場合もありますが、現実には歌、ピアノ、ドラム、ギター等のパートに分かれて録音し、複数の音をミックスして一つの音楽に仕上げることが多いようです。この場合、前者は分かりやすく、その場で録音したものがレコードであり、録音した者がレコード製作者になると考えられます。後者の場合は少し複雑ですが、私見ではパートごとに録音されたものはそれぞれレコードになりますが、音をミックスしてできたものも別のレコードとして保護されると考えます。また、この作業は、通常は同じ会社内で行われると考えられますので、レコード製作者としてはどちらのレコードも当該会社になると考えます。なお、取引の対象となるレコードはミックスされたレコードのことをいい、これを通常レコード原盤と呼んでいます。

(3)保護を受けるレコード 
 保護を受けるレコードは、日本国民をレコード製作者とするレコード、日本で音が最初に固定されたレコード及び条約上保護義務を負うレコードの3種類です。
 日本国民については、自然人だけでなく法人も含みます(6条1号)。レコードの場合、音の固定行為の実態から多くの場合、レコード製作者は法人であると考えられます。条約については、レコード保護条約、実演家等保護条約、WTO協定及びWIPO実演・レコード条約の4種類となっています。

(4)レコード製作者の権利
①体系
 レコード製作者の権利は、実演家と異なり財産権だけであり、人格権に相当する権利はありません。実演家とレコード製作者は同じ体系の中で保護されていますが、実演家は自然人ですが、レコード製作者はおおむね法人です。放送事業者及び有線放送事業者も法人を想定しています。なお、財産権が許諾権と報酬請求権に分かれるのは実演家の場合と同じです。

②許諾権
 レコード製作者の許諾権については、複製権(96条)、送信可能化権(96条の2)、譲渡権(97条の2)及び貸与権(97条の3第1項)の4種類です。実演家の権利と大きく異なるのは、例えば複製権ですが、実演家のいわゆるワンチャンス主義のような適用除外はないので、原則として利用行為ごとに権利が働くことになります。
また、実演家の場合と異なり放送権及び有線放送権は付与されていません。実演家の放送権等は原則として生の実演に係る権利ですので、レコード製作者の場合は固定物の利用ということで、放送又は有線放送に係る権利は、商業用レコードの二次使用料請求権(報酬請求権)のみとなっています。残りの送信可能化権等については、実演家又は著作者の権利の項で説明していますので参照してください。

③報酬請求権
 報酬請求権については、商業用レコード二次使用料請求権(97条)と貸与報酬請求権(97条の3第3項)の2種類です。説明については実演家の権利の項を参照してください。

 今回は短くてすいません。次回は放送事業者及び有線放送事業者の権利について説明をします。

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【2】2023年1月25日開催 大阪工業大学共催 著作権講座(オンライン)のお知らせ(予告)
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2022年度最後の著作権講座です。参加は事前登録制です。
内容は初級レベルの講義と利用者が関心をお持ちと思われる2つのトピックスを予定しています。
詳細が決まりましたら、↓当センターHPにてお知らせします。

https://jrrc.or.jp/educational/kouza/

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