JRRCマガジン第80号(管理事業法の内容2)

川瀬真

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   JRRCマガジン No.80 

川瀬先生の著作権よもやま話
著作権等の集中管理
第7回「管理事業法の内容2」
 
                               2016/11/16配信
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皆様、こんにちは。
JRRCメルマガ担当です。

次期米国大統領に選出されたドナルド・トランプ氏。
選挙期間中にはTPP離脱を公約の1つと掲げていて、益々動向が注視されている昨今。
皆さまいかがお過ごしでしょうか?

それでは、
川瀬先生の著作権よもやま話
第7回「管理事業法の内容2」
をお送りいたします。

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川瀬先生の著作権よもやま話 
著作権等の集中管理 
第7回「管理事業法の内容2」

今回は、管理事業の開始に関する規制について説明します。
 まず、管理事業を行おうとする者は、文化庁に登録をする必要があります(3条)。仲
介業務法は、許可制で主務官庁に強い裁量権を認めておりましたので、事実上、新規
参入は大幅に制限されていました。一方、登録制というのは、登録申請の内容が、登
録の拒否要件(6条1項)に該当しない限り登録は認められることになりますので、主務
官庁の裁量権は狭く、登録制の導入により1業種1団体の原則は崩れることになります。
すなわち、管理事業法の制定により、参入障壁はほぼなくなったといえます。
 もちろん、参入障壁がほぼなくなることで、準備不足等の管理事業者が参入し、権利
者又は利用者に不利益が生じる可能性が高くなるという指摘もありますが、国民の著
作権に対する意識が高まっているわが国においては、
①著作者(著作権者)がどの権利をどこの管理事業者に預けるかの選択肢を与えられ
るのは意義があること、
②権利者又は利用者の信頼を得られない事業者は事業の継続が困難でありすぐに廃
業せざるを得ないこと、
③管理事業者に対する強い監督権限を主務官庁に与えることにより管理事業の適正
化はある程度担保できること
等の理由から思い切った規制緩和が行われました。
 ところで、登録拒否要件の内容ですが、条文を見てもらうとわかりますが非常に客観
的な要件で説明する必要がほぼありません。ただし、その中でも6条1項1号の要件は
管理事業に焦点を当てた特徴的な要件ですので説明をしておきます。
同号は、「法人(営利を目的としない法人格を有しない社団であって、代表者の定めが
あり、かつ、その直接又は間接の構成員との間における管理委託契約のみに基づく著
作権等管理事業を行うことを目的とするもの)でない者」は登録できないと定めています。
 すなわち、管理事業者になるためには法人でなければいけません。個人では管理事
業はできません。これは、管理事業法制定当時金融関係法によくみられる規定でした。
何故かというと、法人については、その形態に応じ、一般社団法人及び一般財団法人
に関する法律、会社法、中小企業団体の組織に関する法律等により組織や経理に関
する仕組みが定められており、また運営・経営の適正化を担保するための規制措置も
定められていますので、管理事業者を法人に限定すれば、当該法人の根拠法に基づく
規制もあることから、運営の適正化は一定程度確保できるという考えに基づく措置です。
 また、括弧書ですが、権利者団体型の管理事業の場合は、当面は法人格を取得しな
いで、会員のための管理事業を行うことがあり得ます。特に公益法人改革前は、公益
法人の許可は各省庁に任されており、その運用の中でどこの省庁でも一般に任意団体
時代の活動実績が最低2~3年程度ないと原則許可されませんでした。そのことを踏ま
え、管理事業法では、管理事業の実績があるにもかかわらず法人格はないという状況
であっても、権利者団体型の管理事業は会員相互の信頼関係があって運営が行われ
ていますので、形式的に法人格がないからと言って登録を拒否すべきではないとして設
けられた特例措置です。 
 次回は、業務関係の制度のうち、委託者と管理事業者との契約関係を定めている管
理委託契約約款について説明をします。

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