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JRRCマガジン
2013/5/20配信 第11号
━━目次◆◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1.著作権百夜一夜話 第11話――――――著作物の翻訳、翻案等による利用
2.山本隆司弁護士の著作権談義 第8回――並行輸入
3.読者の声―――――――――――――――読者の声の投稿と掲載
4.プロムナード―――――――――――――海外出張エピソード
5.インフォメーション――――――――――ご意見・ご要望、各種手続き
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皆様、こんにちは。日本複製権センター メールマガジン担当です。
今年もGWにあさがおの種を蒔きました。このところの気温上昇で、芽吹いた
とたんにグングン成長していて、おもわず「夏が来たー!」\(^o^)/
前回号では、ご契約者様、契約を検討中(将来ご検討含む)のお客様対象に、
JRRCの無料サービス
◆無料講習会講師派遣サービス
についてご案内いたしました。
まだ若干余裕がございます。ある程度、貴社のご要望に合わせたカスタマイズ
も可能ですので、まずはお問合せください。
私どもの力不足でJRRCマガジンの読者はまだ少ないのが実情です。
貴社の社内教育ご担当者様にもこのサービスをお知らせいただければ幸いでご
ざいます。
サービス内容につきましてはこちらをご覧ください。
▼JRRCホームページ「お知らせ」
http://www.jrrc.or.jp/notices/20130401-koushuukai.pdf
では第11号をお届け致します。
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ご意見・ご要望など ⇒ https://fofa.jp/jrrc/a.p/112/
にて、ご投稿をお願いいたします。
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著作権百夜一夜話 第11話
第27条、28条 著作物の翻訳、翻案等による利用
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◆はじめに
著作権法第1章第3節第3款には第21条から第28条までの条文があり、そ
こには著作権の種類(所謂「支分権」)が規定されています。
これらの権利の種類は、それぞれ、著作物の利用態様(例えば、「複製権」は
「複製利用」、「上演権及び演奏権」は「上演利用」と「演奏利用」等)に対
応していますが、第26条の3までと最後の2カ条(第27条及び第28条)
は性格が異なります。
その相違は、前者が「著作物をそのままの形で利用する」ことに対する権利で
すが、後者は「原著作物(原作品)を加工(翻訳、編曲、変形、翻案等)した
り、加工して新たに創作された著作物(二次的著作物)を利用したりする」こ
とに対する権利である点にあります。
そして、日常的な事業活動の中では、資料を作るために原著作物を「翻訳」し
たり「要約」したりするようなケースが多いのではないかと思われるため、こ
のような利用における留意点等について、以下に解説をいたします。
◆第27条(翻訳権、翻案権等)
本条は、「著作物の翻訳、編曲、変形、翻案をする権利は著作者が専有する」
旨の規定で、このような方法で著作物を利用するに当たっては、例外の場合
(権利の制限)を除き、予め著作者の許諾を得る必要があることを定めていま
す。
同条に使われる用語を簡単に解説すると、「翻訳」は原著作物の言語を変換す
ることを、「編曲」は楽曲をアレンジすることを、「変形」は美術品を異なる
形式に変更(例えば、彫刻の写生)することを、「翻案」は著作物を異なる様
式に変更すること(例えば、小説の映画化や著作物の要約等)することを、意
味しています。
■留意点
本条との関係では、著作者人格権に関する著作権法第20条(同一性保持権)
における「改変」に抵触しないかどうかに留意することが肝要です。
というのは、第27条に該当する行為を行なうことについて著作者の許諾を得
ることができ、その上で翻訳や翻案を行なった場合であっても、その成果物に
対して、著作者が「自分の意に反する改変である」という判断をすれば、著作
者人格権の侵害に該当する可能性を否定できないためです。
「著作者の意に反する改変即同一性保持権の侵害」と、「侵害とみなす行為」
とされる「著作者の名誉又は声望を害する方法による著作物の利用」(第11
3条第6項)が社会的判断基準に因っていることを比較すると、判断の主体が
全く異なる点に留意をしておく必要があります。
◆第28条(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)
本条は、翻訳や翻案等をして創作された二次的著作物には、その二次的著作物
を作成した著作者が著作権法上の権利を有するほか、原著作者も同様に著作権
を有することを定めています。
従って、このような二次的著作物の利用を希望する場合は、当該著作物の著作
者の許諾を得るほかに、原著作物の著作者の許諾も得る必要があります。
また、著作権の保護期間は原著作物と二次的著作物のそれぞれについて「別個
に計算される」ことになるため、利用許諾申請をする際、残存保護期間を確認
することをおすすめします。
●参考(二次的著作物の定義)
二次的著作物については、著作権法第2条第11号に「著作物を翻訳し、
編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案すること
により創作した著作物をいう。」と定義されています。
■翻訳や翻案等の利用に対する権利制限規定
著作権法第1章第3節第5款「著作権の制限」の第43条「翻訳、翻案等によ
る利用」の規定で、許諾を得ずに翻訳や翻案等ができる例外の場合を定めてい
ます。
以下に同条文を記載します(参考として、各号の後に条文名をカッコ書きで加
入)。
ただし、当初の利用が第43条の適用範囲であったとしても、その後、別の目
的に流用した場合は第49条第2項が適用され、別途権利者の許諾を得る必要
が生じます。
●翻訳、翻案等による利用
第四十三条 次の各号に掲げる規定により著作物を利用することができ
る場合には、当該各号に掲げる方法により、当該著作物を当該各号に掲
げる規定に従つて利用することができる。
一 第三十条第一項(私的使用のための複製)、第三十三条第一項(同
条第四項において準用する場合を含む。)(教科用図書等への掲載)、
第三十四条第一項(学校教育番組の放送等)又は第三十五条(学校
その他の教育機関における複製等) 翻訳、編曲、変形又は翻案
二 第三十一条第一項第一号若しくは第三項後段(図書館等における複
製等)、第三十二条(引用)、第三十六条(試験問題としての複製
等)、第三十七条第一項若しくは第二項(視覚障害者等のための複
製等)、第三十九条第一項(時事問題に関する論説の転載等)、第
四十条第二項(政治上の演説等の利用)、第四十一条(時事の事件
の報道のための利用)又は第四十二条(裁判手続等における複製)
翻訳
三 第三十三条の二第一項(教科用拡大図書等の作成のための複製等)
変形又は翻案
四 第三十七条第三項(視覚障害者等のための複製等) 翻訳、変形又
は翻案
五 第三十七条の二(聴覚障害者等のための複製等) 翻訳又は翻案
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山本隆司弁護士の著作権談義 第8回
並行輸入
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◆はじめに
山本隆司先生の著作権談義の8回目です。
▼山本弁護士の経歴、著作物等
⇒ http://www.itlaw.jp/yamamoto.html
前回、頒布権の消尽を取り上げましたが、今年の3月19日に米国連邦最高裁
が並行輸入に対する頒布権の国際消尽について判決を下し
(Kirtsaeng v. John Wiley & Sons, Inc., __ U.S. __ (2013))、
大きな議論を呼び起こしそうなので、ご紹介したいと思います。
◆並行輸入
この判決の事案は、米国の出版社(原告)が米国内向け(米国版)は米国内で、
海外向け(海外版)は海外で、書籍を複製し販売していたところ、米国にタイ
から留学している学生(被告)が海外版をタイで家族友人を通じて購入し、こ
れを米国で販売して、その利益で留学費用を賄っていたので、著作権者である
原告が著作権侵害で提訴したというものです。米国版も海外版も原告の許諾を
得て適法に複製されたものなので、著作物のいわゆる「並行輸入」の事案です。
米国連邦最高裁(判事6対3の多数意見)は、頒布権の消尽(「ファースト・
セール・ドクトリン(first sale doctrine)」)が並行輸入品にも適用がある
と判示(被告勝訴)し、その適用を否定した原判決(原告勝訴)を破棄し、差
し戻しました。
頒布権の消尽を定める米国著作権法109条(a)は、
「本編【著作権法】に基づき適法に作成された特定のコピーもしくはレコー
ドの所有者またはかかる所有者の許諾を得た者は、著作権者の許諾なく、
当該コピーまたはレコードを売却しその他占有を処分することができる。」
と規定しています。
この判決は、「適法に作成された」という文言には作成「地域」の限定がない
との文言解釈を、その積極的な理由としています。
この判決の時点では、著作物の並行輸入に対する議論に関して、109条(a)の適
用を国内製造物に限定する解釈が大勢を占めていました。
先例として、米国で製造された複製物が海外で販売されそれが米国に還流した
事案について、頒布権の消尽を認めた判決がありました
(Quality King Distributors, Inc. v. L’anza Research Int’l, Inc.,
523 U.S. 135 (1998))
が、米国内での複製がある事案でしたので、109条(a)の適用が認められました。
下級審は2つに分かれていました。第9巡回区
(Omega S.A. v. Castco Wholesale Corp., 541 F.3d 982 (9th Cir. 2008))
は、米国内で複製されたものか、海外で複製され著作権者によって米国での頒
布が許諾されたものだけが、109条(a)の適用があると判示しました。
他方、第3巡回区
(Sebastin Int’l, Inc. v. Consumer Contacts (PTY) Ltd.,
847 F.2d (3rd Cir. 1988))
は、海外で適法に複製された並行輸入品についても109条(a)の適用を認めました。
本件事案でも、ニューヨーク南部地区連邦地裁は、109条(a)の適用が米国内で
複製されたものに限られるとの解釈を採りましたが、その控訴審である第2巡
回区控訴裁判所は、裁判官が国内製造限定説と非限定説に分かれ、判決は多数
意見の国内製造限定説を採りました。
連邦最高裁は下級審での意見の対立を踏まえて、上告を受理しましたが、上告
審でも政府当局が国内製造限定説に立った意見書を提出し、連邦最高裁の判断
が注目されていました。
国内製造限定説の論拠は、この判決の反対意見(ギンズバーグ判事ほか2名)
の次の部分に集約されます。
「本件において、連邦議会の二つの意図が明らかである。
第1に、602条(a)(1)を制定することによって、連邦議会は、海外で作
成した複製物の米国への輸入を禁止して国際市場を分割する権限を著作権
者に与えるようとした。
第2に、ファースト・セール・ドクトリンの成文化が強調するように、連
邦議会は、106条(3)に定める排他的頒布権が無制限となることを望んでい
なかった。
これらの目的を調和させるのではなく、本裁判所【多数意見】は、前者を
後者に完全に従属させている。米国著作権法についての3つの主要な著作
(Nimmer, Goldstein, Patry)がいずれも109条(a)についての本裁判所の
解釈を採らないことは、驚くべきことではない。
国際消尽主義は、米国が国際通商交渉で絶えず抵抗してきたところである
ので、私は、国際消尽を採るのではなく、著作権法の文言と歴史が創設す
る国内消尽の枠組みに与する。
602条(a)(1)に成文化されたこの制度においては、本件で生じたように
国外で作成された教科書を無断で被告が輸入したことは、原告の著作権を
侵害したものである。したがって、私は第2巡回区の判決を支持する。」
なお、日本著作権法では、国際消尽論を採り、原則として並行輸入を認めてい
ます(113条1項1号)。ただし、レコードについては、並行輸入を、期間を限っ
て禁止しています(同条5項)。
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読者の声
『読者の声』の投稿と紹介
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このコーナーは、身近な話題について、読者の方に投稿していただき、その中
から選出して『読者の声』としてご紹介するコーナーです。
◆読者の声
今回は該当がございませんでした。
テーマは設定いたしません。著作権に関わることでも、最近気になること
でも、プロムナードの感想でも結構です。自由にご投稿いただければ幸い
です。お待ちしております!
◆投稿先はこちら
⇒ https://fofa.jp/jrrc/a.p/111/
掲載された方には粗品を進呈いたします。
なお記事として掲載する場合は、事前にご連絡しご了解を頂くように致します。
◆4◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
プロムナード
♪ ♪ 最高の美味 ∞ ∞
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カラチ、イスラマバード(パキスタン)1995.3.16~3.24
1995年の3月、パキスタンの商都・カラチと首都・イスラマバードにおいて、
同国政府とWIPO(国際知的所有権機関)の共催による「著作権の集中管理
に関する国内セミナー」に、日本の集中管理団体講師として参加する機会があ
りました。
3月16日、カラチの国際空港に着陸。民族移動かと思うような大きな荷物を
運ぶ人であふれる到着ロビーを政府関係者の先導でやっと通過し、用意された
車でセミナー会場にもなっているアメリカ系の最高級ホテルに到着。
そこで驚いたことは二つ;
一つ目は、自動小銃を携行した兵士2人がロビーで立哨していたこと。
当時は、延々と続くインドとのカシミール問題、内政の混乱、加えて、イスラ
ム原理主義活動の活発化、等が顕在化していたと言われる時期です。
二つ目は、ホテルの売店で、海賊版のビデオ(映画)や音楽カセットテープが
堂々と陳列されていた(正規品はほとんどなかった)こと。
今振り返ってみれば、上記セミナーを開催できる環境にあったかどうか、個人
的には疑問を持たざるを得ない状況でした。
(;一_一)
カラチに滞在した2日間は治安上の問題から勝手に外出することは叶わず、政
府関係者や有識者との立食の会食のために近くに外出したほかは、ホテル内で
過ごさざるを得ませんでした。
日本のパスポートを持っていたため、禁制のビールを自室に届けてもらって飲
むことはできましたが、開けてびっくり。何と、ほとんど気が抜けてしまった
味気ない飲み物になっていたのです。
窓を開け、近くのモスクで朗唱されているコーランが聞こえてくると、ビール
を飲んでいることに何となく罪悪感を覚えたことが思い起こされます。
カラチでのセミナーを終え、翌朝、飛行機でイスラマバードへ。
その機内で出されたサンドイッチを食して間もなくいやな予感・・・。
首都イスラマバードの空港から文化省に向かう車中では堪えられない体調に。
文化省に着くや否やトイレに駆け込み、そのあとは一人宿舎のホテルに急行。
チェックインして早々に医者の往診を依頼。「食あたり」による高熱と激しい
下痢に苦しみながら往診を待ち、医師の見立てによる処方薬の入手を客室係の
女性に依頼。暫く待って届けてもらった薬を服用して一晩寝ると熱は下がり、
胃腸の調子も快方に向かいつつあることを実感。
しかし、大事をとって、セミナーでの講演時間を除き、滞在中の2日間、流動
食摂取のみでベッドに釘付けとなりました。
~ビール飲んだから・・・
でも親切に助けてくれる人がいてよかったですね =^_^=
3日目の昼過ぎに帰国の途に就いたものの、当初の予定どおり、カラチの空港
で航空会社の宿泊施設(一応「ホテル」)で一泊。その「ホテル」というのは、
湿ったソファベッドに毛布、畳半畳ほどの広さにざらざらに劣化したコンクリ
ート張りのシャワー室、便座の壊れたトイレがある戸建てのワンルーム。
ベッドに横になる気にもなれず、椅子に座って仮眠を摂るのが精一杯。おかげ
で、翌朝は寝不足に加えて、空腹と口渇の最悪の体調でした。
それでも、経由地であるタイ・バンコックのドンムアン国際空港に着くと、日
本へのフライトまでの待ち時間に、ラウンジで生野菜のサラダとベイクドサン
ドイッチをオーダー。
その清潔感と安心感に大いに感激して完食!! (*^。^*)
嘗てない経験ずくめの海外出張でしたが、その後は無事に自宅まで辿り着く、
という顛末でした。
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インフォメーション
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とりあげたいテーマ等、皆様からのご意見、ご感想、ご希望などお聞かせ頂け
れば幸いです。次号もよろしくお願いいたします。
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窓口までご連絡下さいますようお願いいたします。
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公益社団法人日本複製権センター(JRRC)
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■編集責任者
JRRC副理事長 瀬尾 太一
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