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JRRCマガジン No.405 2025/2/6
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◆今回の内容
【1】JRRC事務局だより 新聞記事のコピーについて(私の使い方と思い出)
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皆さま、こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。
今日2月6日は「海苔の日」
大宝元年に制定された日本最初の法律とされる大宝律令において、海苔は年貢として納める海産物のひとつに指定されていたことにちなんで、大宝律令の制定された旧暦の大宝元年1月1日を新暦に換算した2月6日に記念日がされたそうです。
さて今回は今村先生の連載が休載のため、当センター事務局長 林の「新聞記事のコピーについて(私の使い方と思い出)」をお届けいたします。
◆◇◆━【1】JRRC事務局だより━━━━━━━━━━━━━━━
新聞記事のコピーについて(私の使い方と思い出)
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JRRC事務局 林宏之
皆さんこんにちは。事務局長の林です。前回は官公庁の皆様向けオンライン著作権セミナーの実施状況についてご報告しましたが、今回はJRRCに転職して2年半が経過した私の新聞記事のコピー利用についてご紹介したいと思います。
1.昔の利用方法(新聞記事をスクラップする時代)
現在の話の前に、もはや化石のような話ではありますが、学生時代の新聞記事にまつわるエピソードをお話しします。
当時高校生だった私は、父親が新聞記者だったこともあり、支局を兼ねた自宅には複数の全国紙や県紙、それと父親が勤めていた新聞が常にあるという、かなり特殊な環境で育ちました。そうは言っても毎日複数の新聞を読みこなすことなどできる訳もなく、よほど関心のあること以外は、一面を眺める程度でした。
ある時、確か1980年代後半だったと記憶していますが、当時の北朝鮮の最高指導者であった金日成氏が死去したとの報道が流れました。世界史が好きだったこともあり、最初はもうかなりの高齢だし亡くなってもおかしくないなくらいにしか思っていなかったのですが、毎朝配達される新聞各紙の見出しが「死去」であったり、「生存」であったりとかなり情報が錯綜しているように感じました。
そこで各紙が第一報を打った日からの新聞記事を切り抜いて「スクラップブック」(今となってはほぼ死語ですね)に貼り付けていき、各紙の報道の変化を調べてみました。
もうそのスクラップブックは処分してしまったので、詳細までたどることはできませんが、2週間くらい続けた結果、死去というのは誤報であったとの確定報道となりました(金日成氏は1994年死去)。
全国紙や通信社がそれぞれの海外支局が集めた情報を報道し、地方の新聞社は海外のネタについては主に通信社の配信記事を使っているので、結果としてその社独自の記事となったり、他社とほぼ同じ内容となる記事があったりするのだなとわかるのですが、当時はそのような知識もなかったので、父親に尋ね、その時に初めて通信社という存在を意識したことを覚えています。
また、ひとつのソースだけではなく、複数のソースから情報を集めないとだめなのだなと実感した出来事でもありました。その後の学生時代も気になった記事を切り抜くということが当たり前だった時代が続きます。
2.若手社会人の頃の利用方法
現在50代の私が社会人になったのは1990年代の前半、バブルが弾けた頃でした。まだぎりぎりテレックスを使っていた頃と申し上げれば、同世代の方は懐かしく思い出されるのではないでしょうか?
社会人になりたての私、コピーはさすがに大学時代から使ってはいましたが、FAXは初めて、国際電話も通信費が高額でかけ間違えるとたいへんだったこともあり、海外相手の通信を恐る恐るやっていた、そんな時代でした。
その頃はまさに新聞で情報を集める、確認することが必須とされていたので、眠い目をこすりながら電車の中で新聞に目を通し、気になった記事を切り抜いて、コピーもして、保管していました。今更ながらですが、最初に働いた会社はJRRCの契約者でしたので、違法コピーにならずよかったです。
とにかく必要な情報を早くつかんで共有することが求められていましたので、「今日の〇〇新聞の〇面に××の記事が載っていたが読んでいるか?」と聞かれると、ある種の強迫観念にとらわれました。眠くてろくに読めていないことのほうが多く、「まだです。」と答えるしかなかったからです。
現在のようにネットで何でも調べられる時代ではなかったため、ビジネス系の週刊誌などを読んで新聞報道を理解する足しにしていましたが、それでも追いつかず、営業の仕事の追われる中でとにかくしんどかったのですが、情報ソースが新聞であると上司への説明もしやすかったので、使えそうな記事はお守りのようなものでした。
3.おじさんになってからの利用方法
社会人も10年を超えると月日の流れが一気に加速するようで、中堅と呼ばれた時代からおじさんになるまであっという間でした。
もちろんその間に途方もない量の情報が驚くべき速度で世界中を駆け巡る世界に変貌し、情報の即時性と確実性・正確性の双方を確保することが極めて困難な時代になってきたことを痛感する毎日です。
アナログな私は今でも通勤電車の中で紙の新聞を読み続けています。この話をすると新聞社の皆さんからは感謝され、その他の方からは珍しがられるという反応をもはや楽しんでいます(電車の中で新聞を読んでいる方と目が合うと同士感が溢れます)。
インターネット社会の到来で情報は取るものから捨てる(取捨選択する)ものに様変わりしましたが、お目当ての記事の周りにある記事に目が行き、なんとなく気になっていたことや自分には関係のないものと思い込んでいたことについて知ることができるという紙の新聞の効用と一覧性は、やはり捨てがたいなと思っています。
特に漢字文化圏の人々は、表意文字であるという漢字の特性から、一覧性や読み飛ばしておおよその内容を理解するという点においては、表音文字の新聞よりも優位なのではと思います。以前の仕事では中国の新聞を目にすることも多かったので、私のようにかつて漢字の世界にどっぷり浸かった人間だけの感想かもしれませんが、日本語は縦書き、横書きがあり、日本人の大好きな短縮形も駆使して新聞が見出しや紙面を作っているのでとても読みやすいと思っています。
このように新聞などを読み続け、現在でも著作権関連の記事は自らも契約者であるJRRCの著作物複製利用許諾契約の範囲内で複製して共有したり、コピーを手元に保管したりしています。
最近は生成AIの記事が多いので、どれを保管しておこうか迷うこともありますが、許諾の範囲という制限があることで必要なものだけを選んで保管することでかえって入手情報が整理されることが利点だなとも感じています。
もうひとつ前職時代からの縁で毎年1コマだけ続けている大学での講義にも新聞記事を活用しています。ここ数年はSDGsをテーマにゲスト講師を務めていますが、SDGsは17の目標に169のターゲット、さらに232の指標があるので、ひとつの目標について話すだけでも1コマではとても足りません。借り物の言葉で話すのも抵抗があるので、最初の仕事から一貫して関わってきたエネルギー分野(ゴール7)と裏表の関係にある気候変動(ゴール13)を中心に自分の経験を前職であったJICAでの取り組みをまとめて1コマに収めて話しています。
エネルギーといえば、再生可能エネルギーと化石燃料を使ったエネルギーの利用を巡り、推進派、懐疑派、反対派等百家争鳴状態が続いています。それを象徴する「気候変動に関する国連気候変動会議」はCOP29として2024年11月にアゼルバイジャンの首都バクーで開催されました。
アルメニア、アゼルバイジャン、ブリガリアの3か国が立候補していましたが、アルメニアとアゼルバイジャンの係争地問題(ナゴルノ・カラバフ問題)の和平問題が進捗したため、アルメニアが立候補を取り下げ、次いでブルガリアも取り下げたため、最終的にアゼルバイジャンに決定したのですが、COP27がエジプト、COP28がUAE開催でしたので、3か国連続で産油国での開催となりました。ロシアも絡んでおり、ウクライナ情勢も相俟ってより複雑さが増しているものと思われます。
COPでは毎年激しい議論が繰り広げられており、各国の対立の様子などが開催期間の前後で洪水のように大量に報道されますが、長年取材してきた記者が書いたと思われる記事をいくつかピックアップして読み比べ、自分なりの考えを整理できることはとてもありがたく、この1コマの講義のために毎年1年かけて関連記事を集めています。こちらは教育目的の利用となるため、権利制限がかかることから、コピーも基本的に許容されるのでとても助かっています。
谷間の当番で当初書き始めた時にはこれほど長くなるとは思いませんでしたが、文字として残る新聞記事の私なりの活用法のご紹介でした。お読みいただきありがとうございました。
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