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JRRCマガジン No.178 2019/9/26
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の方にお送りしています
こんにちは。9月も下旬になりました。
事務局も年間使用料申請の対象の方の申請
期限が迫り、慌ただしくなってきています。
皆様からお預かりした使用料は、来年9月に
権利者の方へ分配されることになります。
申請がお済でない方はお急ぎください。
是非ともご理解とご協力のほどお願いいた
します。
今回のコラムはアメリカの音楽に関する
著作権法改正のお話です。デジタル化が進
む中で古いレコード作品の利用許諾をどの
ように扱っていくことにするのかが、
注目点のひとつとなっています。
前回までのコラムはこちらから
https://jrrc.or.jp/category/yamamoto/
◆◇◆山本隆司弁護士の著作権談義(79) ━
-米国MMA-
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最近、アメリカの著作権を改正する音楽近代
化法(Music Modernization Act、略してMMA)
が話題になっています。
今回はこれをご紹介したいと思います。
これまで何度か米国連邦議会下院司法委員会
(グッドラテ委員長)が「裁判所、知的財産及び
インターネットに関する小委員会」において
行っていた著作権法の見直し作業をご紹介
しました。その成果の一つがMMAです。
MMAは、2018年10月12日に成立し、同日発効しました。
MMAは、3つの内容を含んでいます。
第1はメカニカル・ライセンス制度の改正、
第2は1972年より前に作られたレコード
(正確には「録音物」という著作物カテゴリー。以下同じ)
に対する連邦著作権法による保護、
第3はレコードのデジタル放送に対する法定
許諾による使用料受領権者の改正です。
第1点に関して、メカニカル・ライセンス制
度は、個々の発行済み(非演劇的)音楽著作物
についての強制許諾制度です(米国著作権法115条)。
この制度に基づいて、レコード製作者は、
著作権者と交渉して、ライセンスが受けられ
ない場合には、著作権局の定める使用料を支
払うことを条件に、
著作権者または著作権局への通知により、
許諾を受けることができます。
MMAは、メカニカル・ライセンス制度について、
個々の発行済み(非演劇的)音楽著作物では
なく、多数の発行済み(非演劇的)音楽著作
物について包括的に強制許諾を受けることが
できる制度をあらたに設けました。
従前どおりの強制許諾の方法(b項)も可能です。
また、デジタルのレコードを製作する場合に
は、個々の著作権者に対する通知ではなく、
メカニカル・ライセンス集中管理機関
(Mechanical Licensing Collective、略してMLC)を通じて、
多数の発行済み(非演劇的)音楽著作物に
ついて包括的に強制許諾を受けることが
できることとなります。
MLCは、いわば公設の「JASRAC」のようなものです。
第2点に関して、1972年より前に作られたレ
コードに対して、MMA改正前は、連邦著作権
法による保護はありませんでした。
というのは、
1909年著作権法下において、1972年に初め
てレコードが著作物として保護されることに
なりましたが、遡及適用がなかったからです。
したがって、1972年より前に作られたレコ
ードは、州の著作権法によってのみ保護さ
れていました。その結果、州ごとに保護内
容が異なります。
そこで、MMA(米国著作権法に1401条を新設)
は、1972年より前に作られたレコードに対
する州の著作権法による保護を排除して
(e項)、連邦著作権法で保護する(a項)
こととしました。
第3点に関して、レコードをアナログ放送
することには著作権は及びません
(米国著作権法106条(4):実演権を除外)。
しかし、デジタル放送については、
レコードにも実演権を認めています。
ただし、レコードのインタラクティブ送
信には著作権者に許諾権を認めつつ、
一定のデジタル送信には実演権・頒布権
・実演権について適用を免除し、
それ以外のデジタル送信には法定許諾制
度を定めています(114条(d))。
レコードの非インタラクティブ送信で法定
条件を満たす者は、著作権使用料審判官
の決定する使用料を支払って、
レコードを使用することができます。
徴収された当該使用料は、MMA改正前は、
50%が著作権者に、45%が主演実演家に、
残り5%が非主演実演家に分配されること
となっていました。
MMAは、原則として、著作権者または主演実演家
から指示書がある場合には、
自己の取分の中から、プロデューサー、
ミキサーまたはサウンドエンジニアに
受領権を与えることができるようにし
ました(114条(f)(5))。
以上
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