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事前にいただいたご質問と回答
新聞記事を添付・掲載して利用するには、著作権者の許諾が必要となります。外部に提供する行政文書において、新聞記事を参考資料として添付(掲載)する場合、その都度、各新聞社に申請をして許諾を得て利用する必要があります。具体的な手続き方法については、各新聞社のウェブサイト等でご確認ください。
なお、特許出願に関する審査など、行政庁が行う審査等の手続きにおける複製等として著作権法に定められたものについては、特別な規定が設けられており(42条の2)、手続のために必要な場合には、内部資料を超えた利用も一定の範囲で認められています。
2.行政文書が内部資料である場合
行政文書が内部資料であり、内部利用に止まるのであれば、JRRCの著作物複製料許諾契約や、各新聞社のクリッピング契約の利用が可能です。これらの契約を締結している場合、利用の都度、申請をする必要はありません。それらの契約により利用可能な範囲については、以下のウェブサイトをご覧ください<https://jrrc.or.jp/clipping/>。
他方、著作権法第42条では、裁判手続のために必要と認められる場合及び、立法・行政のために内部資料として必要と認められる場合には、その必要と認められる限度において著作権者等の許諾なく著作物等を、①複製をしたり、②当該内部資料を利用する者との間で公衆送信をしたり、③受信装置を用いて公に伝達することができるとしています。ただし、「行政のための内部資料」は「国や自治体の意思を決定し、行使するのに必要な場合」、「複製しなければ行政の目的を十全に達成できないような場合であることを要する」と、解されています。
さらに、この規定には「但書き」があります。具体的には、「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」には42条には該当しません。この場合には、原則どおり、著作権者の許諾が必要となります。
この「但書き」についてですが、文化庁の解釈によると、「「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」は、著作物の経済的市場における利用と衝突するようなケース、あるいは、著作物の潜在的販路に悪影響を与えるようなケースを想定しており、例えば、新聞事業者がクリッピングサービス(※)等についてライセンスを行っているにも関わらず、同様の行為を立法・行政において行った場合が該当すると考えられます。」(※クリッピングサービス:新聞の記事を、組織的・継続的・反復的に複製し、情報共有等のために会社等の組織内で利用することを指します。(出典:新聞著作権協議会ウェブサイト))とされています。<https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/r05_hokaisei/>
こうした行政解釈を前提とすると、内部資料として行政文書に新聞記事を添付する場合でも、当団体(JRRC)や新聞事業者などが提供するクリッピングサービス等の契約が及ぶ範囲では、42条は適用されず、これらのクリッピングサービス等を利用する必要があるので、ご注意ください。
1. 職務著作物の保護期間
自治体や独立行政法人の職員が職務上作成した報告書・マニュアル・写真・映像等は、多くが職務著作物として組織に著作権が帰属することになります。このような団体名義の著作物の保護期間は、原則として公表後70年間と定められています。著作者が法人等である場合、人の死亡という概念がないこともあり、著作権法53条により初公表から70年(未公表のまま70年経過したときは創作時から70年)で権利が消滅します。
例えば、自治体が1960年に刊行した広報誌は、旧法下では2010年に保護期間満了となり既にパブリックドメインになっています(なお、2018年の法改正で、著作権の保護期間が延長しました。職務著作の場合、公表後50年から70年への延長と延長しています。もっとも、この改正の際に、既に消滅していた著作権は復活しません。つまり、 公表時を基準に著作権の保護期間を計算する著作物については、1967年(昭和42年)12月31日までに公表されている著作物がこれに該当します。
一方、1968年以降に公表された自治体刊行物でまだ権利存続中だったものは2038年以降まで延長されました。このように自治体等の職務著作物も例外なく保護期間延長の影響を受けています。
2. 行政文書の保存期間との関係
自治体では公文書の保存期間を文書管理規則で定め、例えば「○年間保存後廃棄」「永久保存」といった分類をします。しかし著作権の存続期間とは必ずしも連動していません。保存期間は行政上の情報管理の観点で設定されるもので、たとえ文書原本が廃棄されても著作権が存続していれば権利自体は消滅しません。反対に、永久保存文書であっても著作権が期限切れとなればパブリックドメインとして、少なくとも著作権との関係では自由利用が可能になります。
なお、公文書館での保存・閲覧を促進するため2011年の法改正で特定公文書の保存利用に関する権利制限(著作権法42条の4)が設けられ、公文書管理法等による保存等のための利用については著作権者の許諾なく行えるようになりました
このようにアーカイブ運用上は一定の調整措置がありますが、基本的に著作権の存続期間管理そのものを保存年限とリンクさせる統一的手法は確立されていません。自治体内部では著作物ごとに作成年度や著作権の満了予定年を台帳管理している例もあるかもしれませんが、70年という長期にわたるため実務上は著作物ごとに必要時に確認する対応が多いものと推察されます。
3. 公的機関発行物の利用規約とオープンデータ
近年、多くの官公庁・自治体は自ら公表する著作物について利用ルール(利用規約)を整備し、一定条件下での自由利用を認めています。「国や地方公共団体が公表している著作物については、公表情報についての利用規約が定められていることが多く、規約の範囲内の利用であれば改めて書面で契約を交わす必要性は低い」と言われています(文化庁「著作権制度の概要」(令和6年度著作権事務担当者講習会テキスト)41頁参照)。
例えば、各省庁や地方公共団体の公式ウェブサイトでは「政府標準利用規約」やCreative Commonsライセンス等に基づき、掲載コンテンツ(文章・写真など)の複製・二次利用を出所表示等の条件付きで許諾する旨が明示されていることがあります。
これにより利用希望者は個別に許諾を求めなくても規約の範囲内で行政資料を活用できます。このような仕組みはオープンデータ推進の一環で、公的機関自身が著作権の行使を一定範囲で放棄または許諾する管理手法とも言えます。

















