JRRCマガジン第3号(著作権法その一、「自炊」代行業その二)

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 JRRCマガジン
                                    2012/09/20配信 第3号
━━目次◆◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.著作権百夜一夜話   第3話「著作権法」の話 その一
2.ほっとな話題     『自炊』代行業の話 その二
3.読者の声       読者の声の投稿と掲載
4.プロムナード     編集者の雑談アレコレ
5.インフォメーション  退会などの各種手続き
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皆様、こんにちは (~o~)
日本複製権センター メールマガジン編集者です。

最近朝晩は、ようやく秋めいてまいりました。
その反面、夏の終わりはいつも一抹の寂しさを感じます。
そう言うと夏女、夏男のようでカッコいいですが、季節の変わり目はいつも
体調を崩してしまい、心身が鈍っている証拠?ですね。

さて今回は、「読者の声」コーナーで、ご投稿頂きました中から2件ご紹介し
ています。「ほっとな話題」は自炊代行業の話で前回の続きです。

予告になりますが、次号(第4号)から「ほっとな話題」の執筆者として、
著作権に造詣の深い弁護士 山本隆司先生をお迎えすることになりました!
タイトルも「山本弁護士の著作権談義(仮称)」と変更し、豊富な知識、高い
見識で自由自在に斬って頂こうと思います。

       ▼山本弁護士の経歴、著作物等はこちら
        http://www.itlaw.jp/yamamoto.html

どうぞご期待ください。(^_^)v
それでは第3号をお届け致します。

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◆1◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 著作権百夜一夜話
       第3話 「著作権法」の話 その一
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◆はじめに
「『著作権』って、どういう権利?」、「『知的財産権』という言葉の話」と
続けてきましたが今回は「著作権法」です。

著作権法第一章「総則」第一節「通則」の第一条に(目的)を置いていますが、
著作権法の中には、一般的にはあまり使われない用語が数多く登場するため、
そのような用語について、同法第二条に「定義規定」を置き、それぞれの意味
を定義しています。
重要な用語の解説を通して著作権法を概観しようと思います。

◆第一条
「著作権法」の目的として、その法律の第1条に、
  この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作
  者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利
  用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与
  することを目的とする。
と規定されています。

  ▼第一条、第二条
   http://www.cric.or.jp/db/article/a1.html#1_1

第一条では、大きく分けて、「著作権(著作物を創作する人の権利)」と「著
作隣接権(著作物を伝播する人の権利)」が規定されています。

「著作物」→「著作者」→「著作権」→「著作隣接権」の順に解説してまいり
ます。

 ■著作物
  著作権法では、著作物は「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、
  文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」と定義され、同
  法第十条に著作物が例示されています。

  ▼第十条  
   http://www.cric.or.jp/db/article/a1.html#2_1

  これらは「例示」であり「著作物の全て」ではないことにご注意ください。
  尚、事実の伝達にすぎない時事の報道などは著作物に該当しません。
  又、著作物の定義にある「思想」という言葉は、「思想家」という場合の
  「思想」のような大仰な意味合いではありません。
  したがって、人が創り出したものであれば、それが、幼児によって描かれ
  た絵であっても小学生によって描かれた作文であっても、そこにその幼児
  や児童の考えたことが反映されていれば、「著作物」です。

 ■著作者
  著作者とは、「著作物」を創作する人のことで、プロフェッショナルであ
る必要はありません。
  著作者は、多くの場合「自然人」ですが、「法人」も著作者になり得ます。
  例えば、ある法人の従業員が業務上で著作物を作成した場合は、特別な約
  束事がない限り、「職務著作」としてその雇用者である法人に著作権が帰
  属し、実際の著作者に著作権は帰属しません。

  ▼法人著作 第十五条
   http://www.cric.or.jp/db/article/a1.html#2_2

 ■著作権
  著作者に与えられた権利の総称で、
   人格的な権利(著作者人格権)
   財産的な権利(狭義の著作権)
  に分かれていますが、後者は、著作物の利用態様に応じて権利が細分化さ
  れており、それぞれを「支分権」※と称しています。

  著作権は、特許や商標のように「登録」をしないと認められないというも
  のではなく、「創作」した時点で権利が発生します。
  これを、登録等の方式がなくても権利が発生するため「無方式主義」と呼
  ばれており、著作権については、無方式主義が国際標準になっています。

  ※「支分権」
   「狭義の著作権」に含まれる支分権は、第二十一条~第二十八条をご覧
   ください。

   ▼著作権に含まれる権利の種類(第二十一条~第二十八条)
    http://www.cric.or.jp/db/article/a1.html#2_3c

   同法第三章(第七十九条以下)に「出版権」に関する規定がありますが、
   これは著作権の「支分権」ではなく、著作者の「複製権」に基づいて、
   その著作物を出版する際の権利の扱い等について定めたものです。

   ▼第三章 出版権
    http://www.cric.or.jp/db/article/a1.html#3

 ■著作隣接権と著作隣接権者 
  自らは「著作物」を創作しないものの、著作物を一般に伝える役割を担っ
  ている人々に与えられる権利を著作隣接権といい、その権利を有するのが
  著作隣接権者です。
  日本の著作権法では、
   ・実演家(役者、俳優、歌手、演奏家など)
   ・レコード製作者(音楽や自然界の音、鳥の声などを最初に録音した人)
   ・放送事業者(同じ内容の同時無線送信を行なう事業者)
   ・有線放送事業者(同じ内容の同時有線送信を行なう事業者)
  が著作隣接権者とされています。

  尚、「映画製作者(主に映画会社)」は「映画の著作物の著作者」ではあ
  りませんが、一般的に、その著作権を有することとされており、著作隣接
  権者とは異なる位置付けがされています。
  著作隣接権の内容は、実演家、レコード製作者、放送事業者と、権利者ご
  とに異なる部分があります。

  ▼第四章 著作隣接権
   http://www.cric.or.jp/db/article/a1.html#4

続きは次号
 次号は支分権の中から「複製権」等いくつかを取り上げて概説します。

◆2◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ほっとな話題
       『自炊』代行業の話 その二
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◆はじめに
前回は、7人の作家・漫画家が東京地方裁判所にスキャンサービス(著作権侵
害行為)の差し止め請求訴訟を提起したところまででした。
今回はその後の動向です。

◆『自炊』代行業の話 ~訴訟後の動向~
2011年12月の訴訟を受けた自炊代行業者の1社は廃業し、もう1社は差
し止め請求を認めたため、作家達は、2012年5月22日、訴訟を取り下げ
たことを発表しました。

このように、自炊代行業は著作権侵害に当たることが訴訟を通じて公知のこと
となった後も、インターネット上には「自炊代行サービスの比較サイト」があ
り、そこに掲載されている代行業者による著作権に関する注意書きは、概ね以
下のように大別されます。

・著作権のある出版物のスキャンは一切行なえない旨の注意書きを置いている
 ケース

・著作権フリー、パブリックドメイン、自著以外については、著作権者の許可
 を得たものに限り、私的な使用の範囲で使う(譲渡、送信等は不可)場合に
 のみ受注する旨の注意書きを置いているケース

・スキャン依頼があった著作物は権利者の許諾があったものと看做して受注(
 発生する問題からの免責)する旨の注意書きを置いているケース

・スキャン後に渡したものは個人的な範囲を超える使用はできない旨の注意書
 きを置いているケース

・著作権上の留意点をまったく記載していないケース

上記の自炊代行サービスの比較サイトには、110を超える業者名が掲載され
ており、そのうちの50弱の業者はサービスを休止しているものの、60を超
える事業者名と、それぞれのサービス概要の情報が提供されています。

これらの中には、以下のような「著作権について」の注意書きを自社サイトに
掲載している業者がある一方、前述のとおり、注意事項をまったく掲載してい
ない事業者もあります。
また、注意書きを掲載していても、用語が間違って使われているケースも多々
見受けられます。

今後、いろいろなタイプの電子書籍端末が益々普及する傾向にあるようですが、
これらのサービスの動向を注視していく必要がありそうです。

◆自炊代行事業者のサイトに見られる【著作権について】の注意書き例
 ・書籍は、音楽CDやビデオ、DVDと同様、著作権法で保護されています。

 ・書籍からPDF変換システムへ依頼できるものは、著作権法に基づき、
   著作権フリーのもの、著作権が切れているもの、ご自身で著作権を有して
   いるもの、著作者の許可がとれているもの
  です。該当しないものは、トラブル防止のため、ご遠慮ください。

 ・書籍から変換されたPDFデータは、ご自身でスキャンした場合と同様に、
  ネット上に公開したり、社内で共有したり、誰でも閲覧できる状態にするこ
  と、実際にデータを渡す行為を行ってはいけません。
  その場合には、著作権法違反(公衆送信権の侵害)で、10年以下の懲役もし
  くは1000万円以下の罰金または併科となります。

 ×書籍から変換されたPDFデータは私的利用の範囲内でのみご利用できます。
  →「私的利用」ではなく「私的使用」

  ◆補足
   著作権法第30条の条文タイトルは「私的使用のための複製」となってい
   ます。
   これは「使用」を目的とした「複製という利用行為」を権利制限の対象と
   しているものです。
   「使用」と「利用」については、著作権法では使い分けがされています。

   使用:著作物が目的としている接し方、書籍であれば「読む」ことが、
      CDであれば「聴く」ことが、DVDであれば「観る」ことが、
      写真であれば「視て鑑賞」することが「使用」に当たります。

   利用:本来の著作物の目的を超える使い方をする場合を言い、利用形態と
      しては、「複製」「演奏」「送信」「譲渡」等の支分権として著作
      権法に規定されている行為が、これに該当します。

   このように、「複製」以外の利用行為は、「私的使用目的」を超える利用
   行為になるため、30条は「複製」に限定されています。

◆3◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 読者の声
       『読者の声』の投稿と紹介
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このコーナーは、身近なテーマについて、読者の方から投稿して頂き、その中
から選出して『読者の声』としてご紹介するコーナーです。

ご投稿ありがとうございました。
本号では、投稿して頂いた中から2件ご紹介致します。

◆前回テーマ
 インターネット以外の日常生活の中で、「これは著作権法に違反では?」
 と思うこと(もの)

◆読者の声
 ■ニックネーム mickさん
  様々な申請の際に添付する地図をゼンリンの住宅地図のコピーを使用する
  こと。添付者もわかっていると思いますが著作権法違反になっている。
  ほぼ暗黙の了解で日常的に使用しているので著作権法違反の意識がないの
  に加え、発行会社のゼンリンも注意喚起していないのが現状です。
  利用者にとっては使い勝手がいい、ある意味、スムーズな申請手続きの面
  で、著作権法が障害となってしまっている。
  部分的に著作権保護の対象から外したり緩和することも必要ではないかと
  思います。

 ■ニックネーム よしさん
  図書館のコピー機です。著作権法31条1項1号は、「図書館等の利用者
  の求めに応じ、その調査研究の用に供するために、公表された著作物の一
  部分の複製物を一人につき一部提供する場合」は複製できることになって
  いますが、多くの図書館は、利用者が自らコピー機を使って複製している
  のではないでしょうか。
  そのほうが時間もコストもかからないので、歓迎しているのですが、法の
  規定と合わないのは何か気持ち悪いものです。
  条文で、図書館資料を複製する際には利用者自らがコピーすることを許容
  してもらえると、ありがたいです。

◆次回テーマ
  前回と同じで
   インターネット以外の日常生活の中で、「これは著作権法に違反では?」
   と思うこと(もの)
  に致します。

◆投稿先はこちら
  ⇒ https://fofa.jp/jrrc/a.p/111/

掲載された方には粗品を進呈いたします。
なお記事として掲載する場合は、事前にご連絡しご了解を頂くように致します。

◆4◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 プロムナード
       ♪ ♪ ア ジ ア の こ こ ろ ∞ ∞
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ベトナム(ハノイ~ホーチミン)

10数年前、WIPO(世界知的所有権機構)とベトナム政府が共催する著作
権の集中管理に関するセミナーで、日本の状況をレクチャーするためにベトナ
ムのハノイとホーチミンを訪れる機会がありました。

ハノイのノイバイ国際空港に到着して最初の難儀は入国審査。
WIPOスタッフとは別行動で、且つ、入国手続きが簡便化される前のことで
もあったため、「個人」としての入国審査に1時間以上を費やしました。

ベトナム訪問のミッションは国際機関の一員として講演をすることでしたが、
セミナー以外の時間は特に束縛もされなかったため、ハロン湾まで足を伸ばす
ことはできなかったものの、WIPOスタッフ全員を誘って、ホアンキエム湖
畔にある劇場に「タンロン水上人形劇」を観にいきました。

  「なんだ、毎回海外出張と言いながら観光旅行じゃないの!?」という声
  が聞こえそうですが、仕事もちゃんとやっていますよ (~_~;)

この人形劇は、1000年にも及ぶ歴史があるようで、シンプルな動きの人形
劇にもかかわらず、コミカルでありながらペーソスにも溢れ、感動的とさえ思
えるものでした。

これを支える音楽は舞台袖での民族楽器と歌によって奏されるものですが、中
でも「ダン・バウ」という、ベトナム独特の一弦楽器の音色は心の琴線に触れ
るものでした。

ハノイでは、孔子廟である「文廟」にも訪れましたが、ハノイからホーチミン
に移動して驚いたのは、さすが商都だけあって、ハノイよりも遥かに活気に満
ち、若い人が目立ちました。
そのせいもあってか、道路に溢れる二輪車(曲芸みたいな4人乗りもいた!)
には圧倒され、現地のスタッフに手を引いてもらってやっと道路を横断できる
状況でした。

もう一つホーチミンで驚いたことは、人とヤモリが共生?していることでした。
軒を並べる商店の看板や壁にはものすごい数のヤモリが張り付いているのに、
現地の人々はそれをまったく気にしないのです。
筆者も、嘗て自宅の風呂場でヤモリを見たことがありますが、なかなか愛嬌が
あるとは思ったものの、ホーチミンでの多さにはいささか閉口しました。

  ヤモリから見れば人の多さに閉口しているかもしれませんが・・・

しかし、短期の滞在期間でしたが、真摯で気力旺盛なベトナム人気質に十分に
触れることができ、中国、フランスの影響を強く受けながらも、独自の文化を
色濃く残しているベトナムという国に完全に魅了されました。

  ▼民族楽器「ダン・バウ」の演奏
   http://www.youtube.com/watch?v=37qw5vNyYzE&feature=related

   ヨウチューイのYouTubeですが、「演奏者自身(phamducthanhさん)が
   2007/07/03にアップロード」と表記されています。

  ▼「文廟」
   http://vietnam.navi.com/miru/73/

◆5◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 インフォメーション
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第3号はだいぶ長くなりました。
どの程度の分量がよいか、とりあげたいテーマ等、皆様からのご意見、ご感想
ご希望などお聞かせ頂ければ幸いです。次号もよろしくお願いいたします。

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   JRRC副理事長 瀬尾 太一   

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