JRRCマガジン第4号(著作権法その二、最近の条約の動向)

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 JRRCマガジン
                                    2012/10/19配信 第4号
━━目次◆◇━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.著作権百夜一夜話       第4話「著作権法」の話 その二
2.山本隆司弁護士の著作権談義  第1回 最近の条約の動向について
3.読者の声           読者の声の投稿と掲載
4.プロムナード         雑談アレコレ
5.インフォメーション      ご意見・ご要望、各種手続き
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皆様、こんにちは (^_^)/
日本複製権センター メールマガジン編集者です。

突然秋がやってきて、朝晩肌寒く、体調を崩さないよう用心が肝要と思いつつ
風邪をひいてしまいました。
環境省の発表では、今年は10月31日までがクールビズ期間だそうですが、
早めに「衣替え」したほうがよさそうです。

さて今回から「ほっとな話題」を衣替えし、著作権に造詣の深い弁護士 山本
隆司先生による「山本隆司弁護士の著作権談義」をスタートしました。
第1回は、読者の方のリクエストを踏まえて、「最近の条約の動向」について
概観しています。
今後取り上げるテーマについてリクエストがございましたら、
    ▼ご意見・ご要望など
     ⇒ https://fofa.jp/jrrc/a.p/112/

にて、ご投稿をお願いいたします。

それでは第4号をお届け致します。

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 著作権百夜一夜話 第4話  
         「著作権法」の話 その二
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◆はじめに
今回は、前回の続きで、著作権法の支分権についての概説です。
支分権といっても、その範囲は広いので、JRRCと関係の深い「複製権」、
「公衆送信権」、「頒布権等」に絞っています。

◆複製権(著作権法第21条)
著作権の起源となる権利で、英語では「copyright」といわれていま
す。
文芸作品でも音楽作品でも、「原作」は、「活字」や「楽譜」という媒体(メ
ディア)を介して伝播されるのが一般的ですが、このように、原作を別のメデ
ィアに置き換えることが「複製」という行為に当ります。

著作権法には、「著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。」と規定
されており、著作物の複製は、著作者(著作権者)が「専有する権利」を解放
しなければ、言い換えれば、著作者の許諾がない限り、原則、第三者は著作物
の複製をすることができません。
複製はいろいろな方法によって行なわれますが、著作権法には、印刷、写真、
複写、録音、録画等の方法が例示されています。

最近では、著作物を、スキャン~データ化してPCにインストールしたり、イ
ンターネットからダウンロードしたり、或いは、ストレージサービスを利用し
てインターネットに蓄積やアップロードをすることも行われていますが、これ
らも著作権法の「複製」に該当します。

 ■複製等に対する権利制限規定
  著作権法では、著作物の利用が
  ・限定的である、
  ・公益性がある、
  ・福祉を目的としている
  等、権利を制限しても著作者の利益に影響を与えないような場合、一定の
  条件の下に「権利者の許諾を得ずに著作物を利用できる」こととされ、著
  作権法第2章第3節第5款に「権利の制限(第30条~第50条)」とし
  て規定されています。
 
  ▼著作権法 (第2章第3節第5款をご覧ください)
   http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S45/S45HO048.html

制限される権利(支分権)としては「複製権」に関するものが最も多く、
 「私的使用のための複製(30条)」のほか、
 「図書館等における複製(31条)」、
 「学校その他の教育機関における複製等(35条)」、
 「試験問題としての複製等(36条)」、
 「視覚障害者等のための複製等(37条)」、
 「裁判手続等における複製(42条)」
等が、代表的なものと言えます。

これらの権利制限規定の適用は、利用者からは「拡大的」に解釈される一方、
権利者からは「限定的」に解釈されるため、運用面での判断が難しいと思われ
ることがあります。
しかし、これらの「権利制限規定」は、複製権以外の支分権に関するものも含
め、権利者の利益を不当に害しない範囲での利用を認めるものであり、利用者
の「自由利用の権利」を認めるものではないことに留意することが必要です。

◆公衆送信権(公の伝達権)(著作権法第23条)
著作権法によると、公衆送信は「公衆によつて直接受信されることを目的とし
て無線通信又は有線電気通信の送信を行うことをいう。」とされています(条
文中のカッコ書き削除)。

端的に言えば、アマチュア無線(いわゆる「ハム」)、ファクシミリ、インタ
ーネット等の無線・有線送信のほか、放送や有線放送(異なる受信者が同時に
同一内容を受信できる無線・有線送信)も公衆送信に該当します。

著作権法の「公衆」は、「特定かつ多数の者を含むものとする。」と定義され
ていますので、「不特定少数の者」も公衆に当たります。
又、「自動公衆送信」という定義規定がありますが、例えば、「インターネッ
トを通じてリクエストがあった番組を配信する(オンデマンド送信)」等がこ
れに該当します。

◆頒布権(著作権法第26条)
著作権法には、頒布について、「有償であるか又は無償であるかを問わず、複
製物を公衆に譲渡し、又は貸与することをいい、映画の著作物又は映画の著作
物において複製されている著作物にあつては、これらの著作物を公衆に提示す
ることを目的として当該映画の著作物の複製物を譲渡し、又は貸与することを
含むものとする。」と規定されています。

「公衆」の概念については、公衆送信権の項目で触れたとおりです。
上述のとおり「頒布」には、有償か無償かを問わず、著作物が複製された「モ
ノ」の移転をすることを意味する行為です。

「頒布」の概念に譲渡と貸与が含まれるのに、著作権法には「譲渡権」(同第
26条の2)、と「貸与権」(同第26条の3)が「頒布権」とは別に規定さ
れています。
その理由は、現行著作権法の「頒布権」は映画の著作物に限定しての規定です
が、それ以外の著作物の複製物については貸与(レンタルビデオ、レンタルC
D、レンタルコミック等)権の規定が置かれています。その後、著作物の原作
と複製物の双方について国際条約上の要件を充たすために、「譲渡権」が追加
されました。

■著作権に含まれる権利の種類(第21条~第28条)
    http://www.cric.or.jp/db/article/a1.html#2_3c

◆2◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 山本隆司弁護士の著作権談義 第1回
           最近の条約動向について
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◆はじめに
序文でも触れていますが、「ほっとな話題」は、今回より山本隆司弁護士に執
筆を依頼し、タイトルも変更いたしました。
毎回のテーマは山本先生にお任せしていますので、何が出てくるか、編集者も
楽しみにしています。
山本先生は、弁護士としてのご活躍はもちろん、国際著作権法学会日本支部や
著作権法学会の理事等を務められ、2011年より文化庁・文化審議会著作権
分科会臨時委員も兼務されていらっしゃいます。

    ▼山本弁護士の経歴、著作物等
     ⇒ http://www.itlaw.jp/yamamoto.html

今回は、序文のとおり、条約の動向について概観します。

◆最近の条約動向について
最近、条約関係がにわかに慌ただしくなってきています。
著作権関係の主な条約には、古典的なベルヌ条約、万国著作権条約、ローマ条
約のほか、WTO関連のTRIPs協定(1994年締結)や、デジタル化・
ネットワーク化対応を目指したWIPO著作権条約(1996年締結)、WI
PO実演・レコード条約(1996年締結)があります。

さらに、新たな条約がいくつか生まれようとしています。
昨年、ACTA(偽造品の取引の防止に関する協定)が東京で日本、米国、カ
ナダ、韓国、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド、モロッコに
よって締結されました(未発効)。
EUとその加盟国はその後署名しましたが、欧州議会で批准が否決されました。

この条約は、日本が提唱し、日米の主導で成立を見ました。
この条約では、知的財産権侵害物に対する国境措置の強化、侵害物の輸出入に
対する刑事罰などを加盟国に義務付けています。
著作権関係上の義務については、わが国はすべて対応済みです。技術的保護手
段としてアクセス・コントロールの保護がこの条約で義務付けられていたので、
日本は、著作権法を改正(今年6月20日成立)して、技術的保護手段の定義
に暗号化によるアクセス・コントロールを加えました。

また、今年6月26日に「視聴覚的実演に関する北京条約」が48カ国によっ
て締結されました(未発効)。
この条約は視聴覚的実演に関する保護を国際的にハーモナイズすることを目的
とするものですが、この条約の締結によって日本は特に著作権法を改正する必
要はないようです。

つぎに、交渉中の条約ですが、話題のTPP(環太平洋パートナーシップ構想)
は、議論がまだ収斂していないようです。
著作権関係では、保護期間や法定損害賠償などについても議論になっており、
その成り行き次第では法改正の必要性が出てくるかもしれません。

そのほか、交渉中の条約としては、WIPOの著作権等常設委員会(SCCR)
において、視覚障害等に関する権利制限の条約、放送機関の保護に関する条約、
教育機関等に関する権利制限の条約、図書館等に関する権利制限条約が、議論
されています。

また、WIPOの遺伝資源等政府間委員会(IGC)において、フォークロア
の保護に関する条約が、議論されています。

今後TPPの進展など大きな動きがありましたら、またこの場でお伝えしたい
と思います。

◆3◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 読者の声
       『読者の声』の投稿と紹介
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このコーナーは、身近なテーマについて、読者の方から投稿して頂き、その中
から選出して『読者の声』としてご紹介するコーナーです。

今回は残念ながら投稿がございませんでした。

◆次回テーマ
  前回と同じで
   インターネット以外の日常生活の中で、「これは著作権法に違反では?」
   と思うこと(もの)
  に致します。

◆投稿先はこちら
  ⇒ https://fofa.jp/jrrc/a.p/111/

掲載された方には粗品を進呈いたします。
なお記事として掲載する場合は、事前にご連絡しご了解を頂くように致します。

◆4◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 プロムナード
       ♪ ♪     謎     ∞ ∞
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ベルギー(ブリュッセル、ブルージュ)編

例によって、国際会議に参加するために訪れたベルギーでの、会議のない日の
出来事です。

ブリュッセルでの2日間の会議が終わった翌日、中世の町並みを残す水の都
「ブルージュ」を訪問するため、ホテルに近い南駅まで歩き鉄道チケットを購
入しました。

 ▼ブルージュ
  http://www.visitflanders.jp/where_to_go/brugge/index.html

駅のコンコースを改札口に向かって歩いていると、若い女性が突然私の前に現
れ、何かのパンフレットを目の前に差し出しました。
何事かと思って立ち止まってそのパンフレットを見て女性に何かを聞こうと思
った瞬間、後ろから羽交い絞めのような格好で誰かに襲い掛かられたのです。

  決して女性に見惚れていたわけではありません。念のため・・・

瞬間の出来事でしたが身の危険を感じ、切符を手に改札口を走り抜け、そのま
まホームまで上って目的地に行く列車に乗り込み、席に座ってやっと落ち着き
ました。

列車が走り出し、次の中央駅を過ぎた辺りで車内販売のワゴンが来たので、缶
ビールを買おうと胸の内ポケットの財布を取り出そうとしました。しかし、な
いのです。財布が! (@_@;)
そこで、はじめて駅のコンコースでの事件が、現地在住と思われる若い男女の
スリによるものだったことに思い至りました。その手口は、後ろから上着の両
内ポケットに一度に両手を交差させて差し込み、財布を抜き取るというもので
した。

財布にはキャッシュカード2枚と現金を入れていたため、大慌てで次の北駅で
降り、ホテルまで走って帰り、事情を話してカードの盗難届けを書き、日本の
カード会社にも連絡して口座を閉鎖してもらいました。

そんな事件にも拘らず、ブルージュには1日ずらして訪問し、ガイドブックに
あった運河めぐりをし、特産のベルギーレースを購入するなど、美しい町の小
旅行を堪能して、翌日帰途に着きました。

  なんと呑気な・・・(~o~)

後日談として、帰国後に受けたカード会社からの連絡によって、盗難に遭った
その日のうちにカードで30万円ほどの買い物がされていたことが判明しまし
たが、盗難届けに基づいて保険が適用され、支払いの請求をされることなく、
一件落着となりました。

カードの署名欄には漢字で署名していたにも拘らず、欧米人がどういうサイン
をして買い物ができたのか、いまだに謎は残ったままです。

◆5◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 インフォメーション
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第4号はいかがでしたでしょうか。
どの程度の分量がよいか、とりあげたいテーマ等、皆様からのご意見、ご感想
ご希望などお聞かせ頂ければ幸いです。次号もよろしくお願いいたします。

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■編集責任者
   JRRC副理事長 瀬尾 太一   

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