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   JRRCマガジン No.98 

山本隆司弁護士の著作権談義
第54回「拡張裁定制度の実証事業」

                            2017/4/25配信
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皆様、こんにちは。
JRRCメルマガ担当です。

人工知能(AI)に関する技術研究は日進月歩で進んでいます。
4月18日は発明の日。
現行特許法の前身である「専売特許条例」が交付された日です。
当時の未来予想図では、AIの活躍など想像できたのでしょうか?
現在の特許法とAIが交差する近未来社会、
誰もが想像し得なかった時代に入ってきたのかもしれませんね。

さて、今回の山本弁護士のコラムは、そんな時代に必須とされる著作者
不明の著作権処理についてです。
JRRCは文化庁の委託事業を行っている「オーファンワークス実証事業
委員会」の事務窓口を担当しています。

それでは、
山本隆司弁護士の著作権談義
第54回「拡張裁定制度の実証事業」
をお送りいたします。

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山本隆司弁護士の著作権談義 
第54回 「拡張裁定制度の実証事業」
                               
 昨年度、権利者団体9団体が権利者不明著作物(オーファンワークス)
の利用を促進する方策としての「拡張裁定制度」の可能性と問題点を明
らかにするために、文化庁の支援を得て、「オーファンワークス実証事
業」を行いました。今年3月21日には、シンポジウムを開いてその成果
を公表・議論しました。私もこれにアドバイザーとして関与してきましたの
で、脇から見てきた者としての意見をお話ししたいと思います。
 裁定制度は、著作物の利用を希望する利用者が、その著作権者に許
諾を求めるために著作権者を捜したが権利者が誰か、どこに居るか、ど
のように連絡を取れるかが不明で、利用許諾を求めることができない場
合に、文化庁長官がその裁定によってその利用を許諾することができる
制度です。利用しやすくするために、文化庁は、「裁定の手引き」を作成
して、必要な調査の方法や申請事項を解説しています。しかし、初めて
の利用者には、裁定制度の利用は敷居の高いものです。
 そこで、拡張裁定制度は、権利者団体が利用者に代わって必要な権
利者調査と裁定申請を行うというものです。裁定申請に当たって必要な
権利者調査を権利者団体が行うことにより、その知見・ノウハウを利用
した効率的な調査を行い、費用を抑えることが期待されます。
 実証事業では、権利者団体9団体で作る「実行委員会」が「オーファン
ワークス実証事業」を実施しました。実行委員会は、3回にわたって、オ
ーファンワークスに対する利用ニーズを募集し、権利者調査を実施した
うえで、うち2回について、複数の利用希望者による利用に対する裁定
申請を実行委員会の名前で行いました。権利者調査には、大変なマン
パワーが必要となりますが、実行委員会は、その費用を自腹でまかない
ました。
 利用希望者には好評で、この実証事業を継続して欲しいとの声が上が
っています。しかし、権利者調査に要する費用を、権利者団体が負担し
てこの事業を長期継続することは困難です。そこで、権利者団体ないし
は実行委員会が利用者から権利者調査に要する費用を徴収する必要
がありますが、弁護士法や行政書士法に抵触しないかが問題となります。
弁護士法も行政書士法も報酬目的のサービス行為が規制の対象です
ので、実行委員会のサービスについては対価を受けないこととすれば、
抵触問題を回避できます。一案として、実行委員会を権利者団体から独
立した法人とし、実行委員会は第三者に支払う実費のみを徴収し、権利
者調査も実行委員会から権利者団体に委託して、権利者団体に委託料
を支払うこととするという方法が考えられます。
 また、利用者から権利者調査に要する費用を徴収することには、権利
者調査に要する費用が使用料相当額に比して高額になることから、その
費用負担が裁定利用のニーズに対する大きな足かせになるという問題
があります。たとえば、写真1点を10年間使用する場合の使用料相当額
が100円としても、その権利者調査には人件費を考えると少なくとも数千
円はかかると推測します。これでは、せっかく100円なら使いたいと思う
利用者も、数千円の費用が掛かるのでは、二の足を踏むでしょう。調査
費用の発生というこの点が、拡張裁定制度の限界だと思います。この問
題を解消するには、拡大集中管理制度の導入が必要となってくると思い
ます。
 拡大集中管理制度は、文化の死蔵を避け、文化の循環発展を促進す
るために必要な制度のように思います。
 なお、拡大集中管理制度には、組織率の高い分野にしか導入できない
との意見があります。しかし、許諾をしていない著作権者に代わって権
利団体が許諾をするという問題の本質においては、組織率の高低は関
係ないはずです。組織率の高低は、組織率の低い団体に拡大集中管理
を認めるのは適当でないという視点はあります。しかし、分野によって文
化の死蔵が許されるはずはありません。そこで、分野を超えた一元的な
拡大集中管理団体を設立し、ワンストップライセンスの窓口とし、各権利
管理団体にはその受託管理する著作物のライセンスを振り分け、いず
れの団体も受託管理していない著作物のライセンスをこの一元的な拡大
集中管理団体が処理するという方法も考えられます。

以上

 
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