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   JRRCマガジン No.97 

川瀬先生の著作権よもやま話
著作権等の集中管理
第12回「管理事業法の内容7」
 
                    2017/4/18配信
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皆様、こんにちは。
JRRCメルマガ担当です。

かつて難攻不落の城と称された熊本城。
その堅牢な石垣をも崩した熊本地震から1年が過ぎました。
再建に向け、取り組んでいる様子をテレビで見ました。
一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
さて、今回の川瀬先生のコラムは、
著作権管理事業の仕組みに関するお話の第7回目です。

それでは、
川瀬先生の著作権よもやま話
著作権等の集中管理
第12回「管理事業法の内容7」
をお送りいたします。

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川瀬先生の著作権よもやま話 
著作権等の集中管理 
第12回「管理事業法の内容7」

 今回は、使用料の設定に関する独占禁止法の取り扱い、許諾
拒否の制限、監督及び信託業法との関係について説明をします。
なお、今回で管理事業法の説明は終了します。次回からは、現
行著作権法の制定以降の法改正うち重要と思われるものについ
て取り上げ、改正の理由、内容、改正後の状況等について説明
をします。どうぞお楽しみに。

1 独占禁止法との関係
 前回説明したように指定管理事業者制度は、指定管理事業者
と利用者代表(利用者団体)による協議を通じて、使用料を設定
しようとするものです。これを独占禁止法の立場から見ると、事
業者(指定管理事業者)と事業者団体(利用者団体)の協議に基
づく使用料設定ということになり、特に事業者団体側の行為につ
いては、例えば価格カルテル等の独占禁止法上の問題が生じる
可能性があります。
 また、著作権法では、商業用レコードの二次使用料請求権に
ついて指定団体制度を採用し、二次使用料の額は、指定団体と
放送事業者等又はその団体との間において協議して定める(著
95条10項、同97条4項)としています。一方、同制度では、当該
協議による定め及びこれに基づいてする行為については、原則
独占禁止法は適用しないとしています(著93条13項、同97条4項)。
 このようなことから、管理事業法制定時においても政府部内で
独占禁止法の適用除外の必要性について検討されましたが、最
終的には協議制度に従い使用料の設定が行われるのであれば、
原則独占禁止法上の問題は生じないということで、独占禁止法
の適用除外規定は盛り込まれませんでした。
 その理由として、
①協議は、利用者代表の求めがあった場合にのみ行われるもの
 であり、常に協議が行われるものではないこと
②使用料の設定に関する協議が整えばそれは使用料規程に反
 映されることになるが、使用料規程は使用料の上限を定めたも
 のであり(管13条4項)、個々の利用者との交渉による値引きが
 可能であること
等が挙げられています(このことについては、2000年11月17日の
衆議院文教委員会における公正取引委員会事務総局経済取引
局長答弁で明らかにされています)。
 このことを商業用レコードの二次使用料制度と比較してみます
と、同制度では実務上指定団体と放送局の団体(例 日本民間
放送連盟)が協議したうえで、二次使用料の総額を決め、その金
額を放送局の規模等を考慮した一定のルールに基づき各放送
局に割り振ることで各放送局が支払う二次使用料の額が決まる
ことになっています。このように使用料の設定に関する両制度の
取り扱いの差が独占禁止法上の取扱いの差になったものと考え
られます。
 なお、管理事業法上の協議により使用料設定が行われた場合
であっても、例えば利用者団体の内部決定により個別の交渉を
制限するなどの行為が行われたときは、独占禁止法上の問題が
生じることはいうまでもありません。

2 許諾拒否の制限
 管理事業の場合、一般に委託者は利用の許諾をすることで少
しでも多くの使用料が徴収されることを期待しています。また、利
用者側から見ると、管理事業者から利用の許諾を拒否されると
、事業が実施できないことになりますので、管理事業者側の条件
を認めざるを得ない等の弊害が生じるおそれがあります。
 このようなことから、管理事業法では、管理事業者は、正当な
理由がなければ、許諾の拒否ができないこととしています(管16
条)。
 この正当な理由については、法定されているわけではありませ
んが、利用者側に法令違反がある、著作者の意思に反すること
が明らかである、許諾を出したくても物理的に出せない等許諾し
ないことについて合理的な理由がある場合が該当すると考えら
れます。
 例えば、長い間著作権侵害を継続しており、使用料の請求に
応じないときに、今後の利用について許諾を求めてきた場合で
す。この場合、過去の使用料について清算をするのは利用者側
の義務ですから、それをしないのに許諾をすることは不合理です
ので、許諾拒否をすることはやむを得ないと考えられます。また、
例えば禁煙活動の促進を支援されている著作者(委託者)が、管
理委託契約の際に、喫煙を助長する利用には許諾をしないでほ
しいと留保条件を付けられたときも同様です。更に、地震等の天
災により、事務所が機能不全に陥った時も同様です。
 それでは、CDやコミックのレンタルのように、ビジネス上の問題
から、CDやコミックの販売後一定期間許諾を禁止したい場合は
どうでしょうか。この場合、ビジネス上の問題は一般的に合理的
理由とは考えられないので許諾の拒否はできないと解されます。
ただし、許諾拒否ではなく、許諾の権限がなければ、管理事業
者は許諾を出したくても出せないわけですから、このようなビジネ
スモデルを構築したいということであれば、販売後一定期間が過
ぎたときに権利委託をすれば管理事業法上の問題は生じないこ
とになります。

3 監督
 管理事業法は,新規参入の障壁を低くし、一定の要件を満たし
た事業者の参入を容易化したため、管理事業の経験や財政基盤
が十分でない事業者が参入してくる可能性があり、場合によって
は権利者又は利用者の利益を不当に害する事業が行われるお
それもあるところです。そのため、同法の所管官庁である文化庁
には、管理事業の適正化のための指導や必要に応じて処分を
行う権限を与えています。
 具体的には、管理事業者の事業の状況について報告を求める
こと、必要に応じ、立ち入り検査をする権限があります(管19条)。
文化庁は、毎年定期的に管理事業者の業務の実態について報
告を求めていますが、それはこの権限に基づくものです。
 また、不適切な業務により委託者又は利用者に不利益を与え
た場合は、業務の改善を指導し、また、必要に応じ業務の改善
を強制する業務改善命令を発することができます(管20条)。
 更に、管理事業法違反があったときや一定期間業務を行って
いないとき等については、登録の取消しをする権限もあります(管
21条)。文化庁では、業務を休止している法人を調査し、必要に
応じ、廃業届(管9条)の提出を求めたり、場合によっては取消処
分を行い実体のない管理事業者の整理をしています。
 
4 信託業法との関係
 日本音楽著作権協会、日本脚本家連盟等については、委託者
から信託の方法により受託を受け著作権を管理しています。仲
介業務法は、1939年に制定された法律ですが、同法においても
信託による管理は認められていました。
 一方で、当時既に施行されていた旧信託業法では、信託の引
き受けができる財産は金銭、金銭債権等に限定されており、著
作権を含む知的財産権は対象外でした。したがって、著作権の
信託による管理事業については、本来旧信託業法違反になるの
ですが、仲介業務法が制定される際の政府部内の調整で、法律
上の調整規定は置かれませんでしたが、仲介業務法は旧信託業
法の特例法であり同法に基づく管理業務は旧信託業法違反では
ないという取り扱いがされました。
 管理事業法の制定の際、旧信託業法との調整について政府部
内で検討されましたが、基本的にはこれまでと同様の取り扱いと
すること、信託による著作権等の管理事業は、旧信託業法の例
外措置であることを管理事業法において明記することで整理が
行われました(改正前の26条)。
 ところが、2004年に現行の信託業法が制定された際、それまで
信託の引き受けができる財産権が限定されていたのが、知的財
産権を含む財産権一般に拡大されました。そこで、このままだと
著作権の管理業務も信託業法の規制が及ぶことになり、二重規
制になりかねないところから、再度政府部内で調整が行われた
結果、前述の26条が改正され著作権管理業務のみを行うために
信託の引き受けをする場合は信託業法の適用がないことになり
ました(現行26条)。例えば、日本音楽著作権協会は、信託によ
る管理業務のみを行っていますので信託業法の適用はありませ
ん。ただし、例えば著作権の処分や特許権等の産業財産権の管
理事業を行うと著作権の管理事業も含めた事業全体に信託業法
の規制が及ぶことになります。
 
 
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