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JRRCマガジン No.101  2017/6/9
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いよいよ東京地方も梅雨入りとなりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

さて、今回の山本隆司弁護士のコラムは
インターネット放送に対する法的保護と制度設計に関するお話です。
インターネット放送は便利なツールであるとして
利用者数が増えているようです。
主な理由として、個人でコンテンツを作成して世界中に配信できる、
コミュニケーションを同時にとれる、スマホ1台でできるといった点が挙
げられています。
関連法の整備が進むにつれ、利用者層も広がっていくかも知れませんね。

では、著作権談義第55回をお届けいたします。

◆◇◆山本隆司弁護士の著作権談義━━━━━━━━

第55回「インターネット放送」

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 さる5月13日、著作権法学会において、インターネット放送に対する法
的保護と制度設計の議論がありました。今回は、そこでの議論をベース
に、その問題に対する考え方について、少しお話ししたいと思います。
 まず、「インターネット放送」として何を議論の対象にするかという問題
です。日本法上は、「放送」は無線による同時送信をいい、「有線放送」
は有線による同時送信をいいます。これに対して、「インターネット放送」
は、インターネットを介した同時送信をいいます。いわゆるサイマルキャ
スティングやウェブキャスティングがこれに該当します。他方、インターネ
ットを介した送信であっても、オンデマンドで送信される異時送信(すなわ
ちダウンロード配信やストリーミング配信)は含まれません。
 いずれの場合も、著作物については許諾権が認められているので、あ
まり問題点はありません。問題があるのは、レコードの利用に関してです。
 レコードの放送および有線放送は、実演家やレコード製作者の保護に
関してはローマ条約(12条)でも日本著作権法(95条、97条)でも二次
使用料請求権を認めています。また、レコードのオンデマンド送信には、
実演家やレコード製作者の保護に関して、WPPT(10条、14条)および
日本著作権法(92条の2、96条の2)は許諾権を認めています。
 他方、レコードのインターネット放送に対しては、実演家やレコード製作
者にはWPPT(15条)で報酬請求権が認められ、日本著作権法(92条の
2、96条の2)では許諾権(送信可能化権)が認められています。
 そこで、レコードのインターネット放送について、第1に、実演家やレコ
ード製作者の保護に関してWPPTが報酬請求権としているのに対して、
日本法がなぜ許諾権としたのかという問題があります。日本法が許諾権
としたのは、日本政府が立法当時、インターネット放送をオンデマンド送
信と同視する解釈を取っていたためであるが、現在ではこれを放送と同
視する解釈に変更していると、先の著作権法学会で指摘されていました。
したがって、条約上は、実演家やレコード製作者に対して報酬請求権を
与えれば足りると考えられます。
 第2に、では、実演家やレコード製作者に対して報酬請求権を与えるこ
とが妥当なのか、許諾権を与えることが妥当なのか、という問題があり
ます。先の著作権法学会で意見が分かれていました。私は、法思想的
には、隣接権の対象物も著作権と同等の保護を受けるべきと考えますの
で、本来は許諾権を与えるべきと思います。しかし、現行法制度の枠組
みにおいては許諾権ではなく報酬請求権を与えるのが法的整合性に合
うように思います。
 第3に、欧米各国、その権利の行使を権利管理団体の下に置いて、集
中処理ができるのに対して、日本では各権利者の許諾を得る必要があ
ります。日本も集中処理ができるような制度設計が必要かという問題が
あります。この点についても、先の著作権法学会では意見が分かれてい
ました。集中処理を権利者に強制する社会的経済的メリットがあるのだ
とは思います。しかし、そのことは音源(実演やレコード製作)に限らず、
許諾権の認められている音楽著作物にも当てはまります。集中処理に
社会的経済的メリットがあるなら、音楽著作物と同様に、音源のライセン
スも集中管理が進んでいいはずです。日本でそれが進まないのは、権
利者が賢明でないということになります。いずれにしても、欧州諸国のよ
うに報酬請求権の行使を権利管理団体に委ね、または米国のように許
諾権を与えるが強制許諾を認めるような制度をとる理論的根拠は薄い
ように思います。
 第4に、実演家とレコード製作者への分配が欧米と日本と大きな違い
があるが、それでいいのか、という問題があります。先の著作権法学会
でも、日本では実演家への分配が少ないとの指摘がありましたが、私も、
そのような実感があります。しかし、実演家とレコード製作者への分配は、
市場原理の中で決まっていくものであって、法的に規制するのはいかが
なものかと思います。過去の慣習は、ビジネスモデルの変化によって、
いずれ崩れていくと思います。

以上

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