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知恵袋
2015-11-13 12:11:08

論文の引用

学術論文において、著作者の主張を展開するための補強材料として使うため、他人の論文の必要な部分を著作者の文章とは明瞭に区別し、またどの論文を掲載したかが特定できる表示をした上で掲載する場合、権利者の許諾は必要ですか。
他人の論文を複製する行為は、権利者の複製権(著作権法21条)に抵触します。しかし、公表された著作物は、引用して利用することが許されています(31条1項前段)。
引用とは、引用する側の著作物と引用される側の著作物が明瞭に区別でき(明瞭区別性)、前者が主、後者が従の関係があると認められる(主従関係)場合をいいます(最高裁昭和55年3月28日判決)。
本件では、他人の論文を著作者の文章とは明瞭に区別し、またどの論文を掲載したかを特定できる表示をしたうえで掲載していますので、明瞭区別性があるといえます。また、著作者の主張を展開するための補強材料として、しかも必要な部分のみについて、他人の論文を使っていますので、主従関係もあるといえます。したがって、本件では、他人の論文が公表されたものであれば、引用が成立し、著作権者の許諾を得ることなく、他人の論文を使用することができます。 

回答者  山本隆司 弁護士 (インフォテック法律事務所)
※回答内容は本ケースにおける一例を掲載しています。
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