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知恵袋

中学の文化祭で、児童小説の朗読会を行いたい。あわせて参加者に作品の一部分を複製し配布したい。

私は中学校の教員ですが、文化祭の文芸部の催物で、地元出身の児童小説家の作品の朗読会を行う予定です。その際参加者に当該作家の作品の一部分を複製・配布しようと思っています。この場合、権利者の許諾は必要ですか。(35条、38条)
まず、小説を文化祭の朗読会で朗読することは、「公に」口述することに当たりますので、当該小説の著作権者の口述権に抵触します(著作権法24条)。しかし、①営利を目的とせず、②聴衆・観衆から料金を受けず、③出演者にも報酬を支払わずに行う口述については、著作権者の許諾は不要です(38条1項)。文化祭の文芸部の催物として行う朗読会については、この3つの要件を満たすと考えられますので、朗読会を行うことについて著作権者の許諾は不要です。
他方、参加者に作品の一部を複製・配布することについては、別途著作権者の複製権、譲渡権に抵触します(21条、26条の2)。しかし、中学校の教員がその「授業の過程における使用」を目的とする場合には、「必要と認められる限度」において、著作権者の許諾を得ることなく複製することができます。ここで、「授業の過程における使用」には、特別教育活動である学校行事や、学校の教育計画に基づいて行われる部活動なども含まれると考えられています。文化祭は学校行事であり、文芸部の活動も学校の教育計画に基づいて行われる部活動ですので、「授業の過程における使用」に当たります。また、作品から朗読に使用する一部分のみ、朗読の参加者にのみ配布するのであれば、「必要と認められる限度」といえます。したがって、参加者に作品の一部分を複製・配布することについても、著作権者の許諾は不要です。

回答者  山本隆司 弁護士 (インフォテック法律事務所)
※回答内容は本ケースにおける一例を掲載しています。
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