JRRCマガジン第84号(管理事業法の内容3)

川瀬真

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   JRRCマガジン No.84 

川瀬先生の著作権よもやま話
著作権等の集中管理
第8回「管理事業法の内容3」
 
                               2016/12/20配信
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皆様、こんにちは。
JRRCメルマガ担当です。

今日12月20日は、吉田松陰が長州の萩(現:山口県萩市)に「松下村塾」を開講した日
だそうです。
松陰が教鞭をとったのはわずか1年程でしたが、その後の明治新政府で活躍した久坂
玄瑞、高杉晋作、伊藤博文、山縣有朋らが門下生として在籍したとのこと。
松陰先生の授業を受けてみたかったな~と思いつつ、

それでは、
川瀬先生の著作権よもやま話
第8回「管理事業法の内容3」
をお送りいたします。

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川瀬先生の著作権よもやま話 
著作権等の集中管理 
第8回「管理事業法の内容3」

 今回は、管理委託契約約款について説明をします。
 管理委託契約約款には、著作権又は著作隣接権の行使を委託する者(権利者)とそ
れを受託する者(管理事業者)の間における契約内容が定められています。約款によ
る契約というのは、一般に不特定多数の方と定型的な契約を結ぶ場合に用いられてお
り、運輸、旅行、ガス・電気等多くの分野で活用されています。管理事業においても、通
常多数の権利者と定型的な契約が行われますので、管理事業者は、管理委託契約約
款を定め、文化庁に届出をする必要があります(管11条1項)。なお、約款の必要記載
事項は法定されており(管11条1項、同規則11条)、信託、取次ぎ又は代理の別、契約
期間、徴収した使用料の分配方法、報酬(手数料)の額等の内容を盛り込んで作成す
る必要があります。
 なお、管理委託契約約款と次回説明する使用料規程は、管理事業者としての登録の
際には必要ありません。登録後、関係者と協議するなどして約款を作成し届け出れば
いいことになっています。ただし、管理事業の開始に当たっては、事前に約款等の届出
を行うことが必須の条件になっています(管11条3項)。
 また、管理委託契約約款の変更ですが、管理事業を開始した後に様々な事情により
約款が変更されることはありうることですが、約款を変更する場合も文化庁への届出が
必要です(管11条1項)。さらに、文化庁の届出後すみやかに委託者に通知をする必要
があります(管11条2項)。管理事業者の約款例を参照すると、通常、約款変更の通知
後、一定期間内に異議を申し出た委託者は契約を解除できます。反対に一定期間を
過ぎ意思表示をしないときは、約款の変更を承諾したとみなされることになっています。
 ところで、仲介業務法から管理事業法に移行する際に、日本音楽著作権協会(JASR
AC)の管理委託契約約款の内容が問題になりました。仲介業務法の時代は原則とし
て1業種1団体で運用されており、著作者から著作権の条件付き譲渡を受けた音楽出
版者が自ら権利を行使することも、同法の解釈上仲介業務とみなされるとし規制されて
おりましたので、著作者の自己管理を除き、全ての権利行使はJASRACにより行われ
ることになっていました。したがって、当時のJASRACの約款では、JASRACに権利行
使を委託する際は、原則として全ての著作権を委託する必要がありました。
 管理事業法は、管理事業への新規参入を認めていますので、仲介業務法時代の約
款をそのまま維持するとすれば、例えば、ある著作権者が、録音権はA管理事業者に、
演奏権はB管理事業者に委託することができなくなり、また一部の権利を自己管理し、
残りの権利を管理事業者に委託することもできなくなってしまうことになります。そうする
と新規参入を認める新しい法律上の枠組みはできたが、事実上著作権者の選択肢は
なくなってしまうという弊害を生むことになります。そこで、管理事業法の施行前にJASR
ACは自主的に約款の変更を行い、著作権者が委託する権利の選択ができるようにな
りました。現行のJASRACの約款を見ると、単純な分け方ではありませんが、利用の実
態に合わせた選択肢が確保されていることがよくわかります。

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