JRRCマガジン No.100 私的領域における著作物等の利用について(1)

川瀬真

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JRRCマガジン No.100  2017/5/30
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2013年7月に創刊したJRRCマガジンも、
本号で創刊100号を迎えることができました。
これもひとえに読者の皆様の日頃のご愛顧あってのことと、
心より感謝申し上げます。

そこで、JRRCマガジン創刊100号記念!読者プレゼントとして、
著作権法に造詣が深い当センター理事長半田正夫の、

★半田正夫『著作権法概説 第16版』

を抽選で5名様にプレゼント致します。
応募方法などにつきましては、本メール後半にてご案内いたします。
皆さまの応募をお待ちしております。

それでは、
「川瀬先生の著作権よもやま話」をお届けいたします。
今回は、自分の趣味のために、本をコピーする、インターネット上にアップ
されている音楽・映像等をダウンロードするなどの著作物等の利用行為に
ついて、著作権法上ではどのような取り扱いとされているのかなど、その
背景や課題も含めて解説いただいています。

◆◇◆川瀬先生の著作権よもやま話━━━━━━━━

第13回「私的領域における著作物等の利用について(1)」

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 今回からは、1970(昭和45)年の現行著作権法(現行法)制定以降にお
ける著作権界で起こった著作物等の創作・利用の実態の変化を整理し、
そのためどのような事態が生じ、それに関しどのような対応がされたのか
について制度と実務の両面から解説をしていきたいと思います。
 まず、最初に取り上げるのは、私的領域における著作物等の利用につ
いてです。皆様もご承知のことと思いますが、現行法では、著作権の制限
規定の一つとして、私的使用のための複製(30条)が定められています。
この規定ですが、現行法が制定された当初は、「個人的に又は家庭内そ
の他これに準ずる限られた範囲内で使用する」ことと、「その使用する者
が複製する」ことの2つの条件を満たせば、著作物を著作権者の許諾なし
に複製することができるとしていました。現行法の施行まで効力があった
旧著作権法(旧法)でも私的領域等における複製を認めていましたが、こ
の規定では「器械的又は化学的方法」による複製を禁じていましたので、
事実上手で書き写す等の極めて限られた方法による複製しかできないこ
とになっていました(旧法30条1項第一)。もっとも旧法下においては複製
機器の家庭内への普及はほとんど進んでいなかったことから、当時として
は別段問題になるような規定ではなかったと考えられます。しかし、旧法
の改正を検討する段階では、徐々にではありますが家庭内への複製機
器の普及が進み、将来的にもっと普及すると予想されていました。したが
って、現行法では、私的複製は閉鎖的な領域で行われる行為であり実態
把握が困難なこと、また零細な利用であること等から、複製手段を問わず、
使用目的と複製主体の2つの要件で複製を認めたことは当時としては合
理的な判断であったと考えられます。
 しかしながら、その後の複製機器の家庭内への普及は急なものがあり
ました。
特に録音録画機器の普及に目覚ましいものがあり、携帯型オーディオ機
器(例えばSonyのウォークマン)の発売、CDの商品化などにより普及の進
展が早まったと考えられます。また、その後のデジタル化の進展、録画機
器やパソコン等の家庭内への普及、ネットワーク時代の到来等時代の進
展とともに、私的複製の拡大が更に進みました。
 こうした状況の中で、現行法制定以降の急速な状況の変化を踏まえ、
特に権利者側から、私的使用のための複製(30条)の見直しを求める声
が高まってきたことは容易に想像できることです。また、貸しレコードの普
及やそれに伴う音のダビング業の出現、複製を制限するコピープロテクシ
ョンの回避の問題、映画館等における映画の盗撮の問題、違法サイトか
らのダビングの問題等の私的使用のための複製(30条)を助長するよう
な問題がたびたび生じ、これらの主張に拍車をかけたことも事実です。
 現行法の制定以来、私的使用のための複製(30条)に係る著作権法の
改正等は何度か行われました。その詳細は後ほど説明しますが、注目す
べき点は、この規定の対象範囲は改正ごとに縮小しつつあるということで
す。デジタル化・ネットワーク化の進展の中で、時代の要請により、権利
制限規定は、規定の改正や新設を繰り返しその範囲を拡大している中で、
このような状況が生まれています。
 私の行政官としての経験から、一旦拡大した権利制限を縮小しようとす
ると、それに対する反対の意見も強く、その調整はかなり難しい作業です。
しかし、このように何度も改正が行われたということは、一般論として私的
使用のための複製(30条)に関する問題が、分野によっては権利者の利
益を不当に脅かす事態を生じさせているといわざるを得ないのではないか
と考えられます。
 デジタル化・ネットワーク化社会の進展により、著作物を含めた情報の
入手も発信もすごく容易になりました。こうした中で、私的使用のための複
製(30条)の問題に限らず、権利保護と利用の円滑化について、権利者と
利用者がどのように折り合いをつけるかが大きな争点になっています。最
近の教育の情報化の問題における教材の異時公衆送信の問題や柔軟
な権利制限の問題も然りです。
 私的使用のための複製(30条)とその周辺の問題について、解説を進め
ていく中で、特に権利者側として権利制限の問題にどう取り組む必要があ
るのか等についても、皆様と一緒に考えていきたいと思っています。

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 <<半田正夫(著)「著作権法概説」について  川瀬真JRRC理事>>
 JRRC理事長である半田正夫先生(元青山学院大学学長)の名著であ
 る。1974年の初版発行から2015年まで16版の改訂を重ねている。この
 本の特徴は、著作権制度の概要をできるだけ中立的な立場で解説する
 と同時に、各章ごとに著作権、著作者、著作物、著作者の権利等の意
 義と題して、学術的な見地から著者の見解が述べられている。著作権
 制度の概要だけでなく、著作権の本質を知ることができる貴重な著書で
ある。

★応募方法
 
 下記URLよりご応募ください。
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 ※ご応募はお一人様1回かぎりとさせていただきます。
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