JRRCマガジン第119号(著作物の保護要素)

山本隆司

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JRRCマガジン No.119  2017/11/2
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東京地方で木枯らし一号が吹き荒び、
あわてて冬支度にとりかかる中、
現れた可愛らしいモンスターたちに心温められたハロウィン。
皆さまはいかがお過ごしになられましたか?

今回の山本隆司弁護士のコラムは「著作物の保護要素」です。
著作物に含まれる要素のうち、表現のみが著作権で保護され、
アイデアは著作権の保護対象とならないとする
「アイデアと表現の二分法」について、
アメリカ、日本、ドイツ各国における考え方をお話しくださいました。

◆◇◆山本隆司弁護士の著作権談義━━━━━━━━

第60回 「著作物の保護要素」

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 アメリカの著作権法には、アイデアと表現の二分法という原則が
あります。著作物を構成する要素には、「アイデア」に属する要素
と、アイデアを表現する「表現」の要素があります。「アイデア」
に属する要素には、アイデア自由の原則が及んで、著作権による
保護が与えられません。「表現」の要素のみが著作権による保護の
対象になる、という原則です。
 アメリカでは、「表現」の要素であっても、アイデアを表現する
ために不可避な表現(マージ理論)や、アイデアを表現するために
平凡な表現(ありふれた情景の理論)には、著作権による保護が
否定されますが、それは、アイデア自由の原則が著作権による表現
の保護に優越すると考えられているからです。
 アイデアと表現の二分法は、日本法にも入って来ています。たと
えば、江差追分事件の最高裁平成13年6月29日判決は、著作権によ
る保護が表現のみに与えられ、アイデアには及ばないことを明言し
ています。また、日本の裁判例も「ありふれた表現」に著作権によ
る保護を否定しています。しかし、その中には「ありふれた表現」
を、アイデアを表現するために平凡な表現という意味(いわば従属
変数)に捉えず、すでに世の中に広く存在する表現という意味
(いわば独立変数)で捉えているものもまま見受けられます。ここ
に、アイデアと表現の二分法の前提にある「アイデア自由の原則」
までは根付いていないことが垣間見られます。
 ドイツの著作権法を調べてみると、このような日本の状況の背景
が見えてくるように思います。
 ドイツでは、アイデアと表現の二分法というような考え方はあり
ません。したがって、アイデア自由の原則もありません。
 かつてドイツでは、著作物の「形式」と「内容」を区別し、「形
式」のみが著作権による保護の対象になるが、「内容」はその対象
にはならないとの学説がありました。形式と内容の区別は、アイデ
アと表現の区別には対応しません。たとえば、小説の筋書きは、
形式と内容の区別では内容に該当し、アイデアと表現の区別では
表現に属します。ドイツでは、1926年のアルト・ハイデルベルグ事件
判決が形式と内容の区別を放棄し、内容に著作権による保護を肯定
して以来、判例も学説も、形式と内容を区別する考え方をとってい
ません。現在では、著作物から、個性的な特徴を借用すれば著作権
侵害であり、公有的情報を借用することは適法であるという考え方
をとっています。したがって、個性的な表現に限らず、個性あふれ
るアイデアであれば、著作権による保護の対象になり得ます。
 ついついアイデアと表現の二分法は万国共通のルールのように
思ってしまいます。しかし、以上のように、必ずしもそうではあり
ません。

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